来春のセンバツ高校野球(甲子園)出場校選考の重要な参考資料となる、秋季東北大会(石巻市民ほか)が20日、開幕する。秋の東北3連覇を狙う仙台育英(宮城)は、秋元響内野手(2年)と斎藤陽(ひなた)外野手(1年)の“似たものコンビ”が、互いに負けないくらいの働きでチームを勢いづかせる。
俊足巧打の2人が3連覇に向けて、仙台育英を引っ張っていく。「今までやってきたことを変えることなく戦いたい」と秋元が話せば、斎藤は「一戦必勝で先を見ずに頑張りたい」と闘志。10連覇を達成した県大会は、ともに全4戦で安打を記録。全試合1番に座った斎藤は切り込み隊長として、主に5番に入った秋元は勝負強い打撃で、それぞれ勝利に貢献した。東北大会でも同様の活躍を目指す。
右投げ左打ちで俊足を生かした打撃が持ち味と、タイプが似ている2人。秋元が身長167センチ体重69キロ、斎藤が165センチ、72キロとサイズも近く、須江航監督(38)も「フォルム(形)も似てるんですよね…」と話すほど“似たものコンビ”だ。しかし秋を迎えるまでの流れは正反対だった。
斎藤は1年生ながら夏の宮城大会に背番号7をつけて出場。2―3で敗れた4回戦・仙台商戦で最後の打者となり、涙に暮れた。それでも「3年生のみんなから『お前がいいバッターだから試合に出てたんだぞ』とか、監督さんから『1番悔しい思いをしたと思う』と言われて、前を向けました」と斎藤。今秋はなかなか調子が上がらなかったが、好調時の打撃フォームに近づけることで復調してきた。
秋元は今秋が初の公式戦ベンチ入り。県大会打率4割6分7厘の活躍も、「このくらいの数字は残せると、いい意味で自信を持って臨んでいた」と話した。東北大会では他校から警戒されるが、「自分の打撃を信じていきたい」と決意十分だ。
初戦の2回戦(21日)は学法石川(福島)―盛岡大付(岩手)の勝者、勝てば準々決勝(23日)は東日本国際大昌平(福島)―花巻東(岩手)の勝者と、強豪私立勢が集まったブロックとなったが、一戦必勝で立ち向かう。「しっかり対応して、1点を大事に戦っていく」(秋元)、「調子の波に左右されず、いつも通りのプレーをしたい」(斎藤)と決意を語った2人の活躍が、チームを勝利に近づける。(有吉広紀)