来季清水入り筑波大DF山原怜音、U―22代表合宿で味わった「基準の高さ」OB三笘薫の活躍も力に

スポーツ報知
来季清水加入内定の筑波大MF山原怜音(右)

◆関東大学サッカーリーグ ▽第20節 筑波大2―0法大(17日・味フィ西)

 正確無比なキックで、鮮やかな先制点を呼び込んだ。筑波大は法大に2―0と完封勝利。0―0の後半18分、左サイドバックの山原怜音が上げたクロスに、得点ランク首位(15得点)を走るFW森海渡が頭で合わせ、均衡を破った。

 「前半ビルドアップはできたけど、あまりゴール前に関わることができなくて。後半はああやって相手の深い位置までいって、クロスでアシストができた。常に得点に関わるプレーは自分の特徴の一つとして出していきたいので、そこが後半はできて良かった」

 こう語ったのは、来季清水加入予定の山原。追加点を加えてからも「自然と統一されていた」とチーム全体で攻め上がり、前期リーグ戦で2―4、夏の総理大臣杯準決勝では0―4と完敗を喫した相手から白星を奪った。山原も自らサイドを突破するだけでなく、冷静な判断から状況に応じた展開力を発揮。副主将として持ち味の”声”でもチームを引っ張り、法大・長山一也監督が「ストロング」と警戒したキーマンの一人として存在感を示した。

 「守りに入ると自然と押し込まれる空気になってしまう。しっかり圧倒したかったので、前からプレスにいった。クロスやサイドからの攻撃で2点取れたのは、まさに理想的な形。なんとしてでもリベンジしたいんだって強い気持ちをチームとしても持っていたし、自信につながる勝ち方になったと思う」

 きっ抗した優勝争いに食い込み、全国出場権(関東6枠)出場を勝ち取るうえで負けられない上位対決。勝ち点で法大に並び、4位に浮上した。

 山原は今月上旬、U―22日本代表合宿に参加。パリ五輪世代を中心とした中で、山原ら22歳・21歳の4選手はオーバーエージのような役割も。横浜FM、U―20全日本大学選抜と行った練習試合では、精神面で鼓舞するだけでなく、より具体的な指示を飛ばして味方を動かす姿が何度も見られた。パリ世代に新たな刺激をもたらすと同時に、山原にとっても実りの多い1週間となった。

 「ほとんどがJリーグっていう自分がこれから進もうとしている世界に先に入って活躍して、日々努力している選手。レベルも高くて、僕のほうが学ぶことが多くて、吸収させてもらってるなと。本当にいい刺激になった」

 9月11日の鳥栖戦で特別指定選手としてJ1デビュー。ロティーナ監督の期待した”攻撃的”なサイドバックとしてフル出場した。「機会があれば、清水の力になれるようチャレンジしたい思いもある」と話す山原は、清水で始まるキャリアを描きつつ、着実に成長している。今回の合宿で感じたのは、当たり前のようで難しい「基準の高さ」だ。

 「高い志がある集団はおのずと練習からパス&ゴーの一つ、ポゼッションの質、ゲームに入ったら高いインテンシティ(強度)でやっている。集中力や質の高さは本当に学ぶところばかりだった。基本というか、それが当たり前。その基準を味わえたことは自分にとって一番大きかった」

 プロの世界で激しい競争に身を置く選手たちと過ごしたことで、改めて気が引き締まった。最終学年として、名門の中心に立つ背番号14の意志は強い。

 「正直筑波の練習で少し緩い雰囲気になる瞬間ができてしまったり、質が落ちてしまう日もあったりする。代表活動の意図は、帰ってきた時に他の選手にどれだけいい影響を与えて落とし込めるか。自分が感じたものを求めていきたい」

 この日の試合前夜には筑波大OBで、2歳先輩にあたるベルギー・サンジロワーズの東京五輪代表MF三笘薫がリーグ戦で途中出場からハットトリックを達成。衝撃を与えた活躍に、声を弾ませた山原をはじめ後輩たちも感化されたようだ。

 「朝バスで出発したときも話題になっていた。筑波の先輩の活躍は現役部員にとって本当にうれしいし、力になる。だからこそ、今筑波を任されているのは自分たちなので、その思いは強く持っていきたい」

 左右サイドバック、サイドハーフとこなし、1年時から主力として戦うが、入学後は大学タイトルに手が届いていない。シーズンも残り少ないラストイヤー。頂点を見据え、チームをさらに高いところへ導く。

サッカー

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×