バウ初主演「心を燃やす」宝塚月組・風間柚乃の”フルスウィング”

スポーツ報知
最終盤のハイライトシーン。雪山で一人、魂の叫びを発するルーカス・ボルクマン(風間柚乃)

 宝塚歌劇月組「LOVE AND ALL THAT JAZZ…ベルリンの冬、モントリオールの春…」(作・演出、谷正純)が兵庫・宝塚バウホールで上演中だ。第100期生で入団8年目の若きスター・風間柚乃(かざま・ゆの)のバウ初主演作。ナチス政権下のジャズピアニストが自由を追求する物語で、若手屈指の演技力を発揮するとともに、難曲だらけのナンバーで歌唱力の成長も証明。芝居と歌の絶妙なSWING(スウィング)で見る者の心を揺さぶっている。(ペン&カメラ・筒井政也)

 「登竜門」と称されるバウホールの0番位置。記者は通例、このセンターに立った生徒を「ホープ」から「スター」に表記変更しているが、「チェ・ゲバラ」(2019年)で月城かなと(現トップ)の休演の代役を見事に務め上げた風間は、心の中の評価は当時から「スター」。その実力のほどを、バウの舞台で証明してみせた。

 まだ入団8年目だが、劇団側の“任せて大丈夫”というような信頼を感じるほど、重く難しい題材だ。

 第2次世界大戦時のドイツ・ベルリン。ナチス政権から退廃音楽としてジャズ演奏を禁じられたピアニストのルーカス・ボルクマン(風間)は、追手から逃げてきたユダヤ人の娘レナーテを機転を利かせてかくまう。人種や言葉の垣根を超える音楽の力を信じるルーカスは、レナーテを自由の地へ送るべく、ナチス幹部に成りすまして彼女を連れてドイツを後にするが…。

 第2幕では身分を装ったことがルーカスの運命を狂わせる。スローな流れだった第1幕から物語は急加速して、良質な映画を1本観たかのよう。各生徒の見せ場を詰め込み過ぎる最近のバウ作品と違い、スッキリ見られたのは、大ベテラン・谷氏の演出のおかげだろう。谷氏が、収容所にいた経験のあるユダヤ人夫婦から聞いた実話がベースだとか。

 特筆したいのが最終盤。ルーカスが希望を捨てずに前へと進んでいく、7分近い長いソロは、雪をも溶かすほどに情熱的で、風間のキャリアの中でも語り草になりそうな名場面だ。「この一歩が道を切り開く」という歌詞が、ルーカスの心情と、さらなる高みを目指すジェンヌの姿勢と重なる。

 この印象的なソロだけではなく、ジャズの名曲、宝塚らしい掛け合いのナンバー、展開に合わせた変調など、楽曲も難問続きだったが、見事に突破。芝居にメリハリを付けた。定評のあるコメディーセンスの発揮は、作品的に“お預け”だったが、次回以降の楽しみにしたい。

 安定感たっぷりの風間だが、初日のカーテンコールでは「心を燃やし続けたい。安定した道を歩くのではなく、自らデコボコ道を選んで、果敢にチャレンジし続けることがバウホールの醍醐味だと思う」と、研8らしくあいさつ。「私たちが言いたいことはただ一つ…『スウィングしなけりゃ意味がないんだ!』」と劇中のセリフを引用して、チーム一丸の完走を約束した。

 また、相手役のレナーテを演じた4年目・きよら羽龍(はりゅう)も、歌の力がキーポイントになる役どころで、心地よいソプラノで酔わせ、風間との並びも美しかった。

 千秋楽の18日(午後2時30分開演)は「Rakuten TV」「U―NEXT」で有料ライブ配信が行われる。

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請