◆2021年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD(11日)
巨人から2位指名を受けたJR東日本の山田龍聖投手(21)がドラフト当日、史上まれに見る接戦で熱投を見せつけた。都市対抗東京地区予選第3代表決定戦(神宮)のセガサミー戦。指名を受けたのは午後6時の試合開始直後。試合中、浜岡武明監督から「集中できるだろうから」と吉報を聞いていた。
3―3で同点の9回から登板すると、マウンドは左腕の独り舞台となった。「何とかチームを勝たせたい」。最速149キロの直球に変化球を織り交ぜ快投を披露。延長16回1死まで無安打投球を続けた。自身10イニング目。18回1死。左翼席へ勝ち越しソロを許し、がっくりと肩を落とした。
9回1/3を3安打1失点10奪三振。午後11時を超えれば次のイニングに入らない規定で、この回を抑えれば引き分け以上が確定していただけに痛恨だった。「詰めの甘さが出た。明日(第4代表決定戦で)何とか勝たないと」。それでも魂の146球はドラ2に恥じない堂々の内容だった。
山田は高岡商で3度甲子園に出場。3年夏は16強入りし、3回戦では根尾(中日)、藤原(ロッテ)擁する大阪桐蔭から11Kと大舞台に強い。社会人に進み、最速は153キロまで上昇。変化球のキレも増した。巨人のイメージを聞かれ「小さい頃からテレビで見ていた強いチーム。すごくうれしい」と目を輝かせた。
巨人で今季、先発ローテを守るのは左腕は高橋だけ。さらに速球派左腕は補強ポイントの一つだった。原監督は「左投手として評価は(1位で競合の隅田に次ぐ)2番目。その選手を2位で取れたのは非常に大きいこと」と、うなずいた。高卒3年目の21歳は巨人では戸郷と同世代。即戦力として期待され「直球がストロングポイント。直球で押して変化球を交ぜていけたら」。近い将来、左右の両輪としてエースへと進む。それを十分予感させるマウンドだった。(岸 慎也)
◆山田 龍聖(やまだ・りゅうせい)
▽生まれ 2000年9月7日、富山・氷見市。21歳。
▽サイズ、投打 183センチ、82キロ。左投左打。遠投100メートル、50メートル6秒1
▽最速 153キロ
▽変化球 カーブ、スライダー、チェンジアップ
▽甲子園 高岡商2年春夏、3年夏に出場。16強入りした3年夏は、3回戦で根尾(現中日)、藤原(現ロッテ)らを擁して甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭を相手に11奪三振の力投。1―3で惜敗したが注目を集める。
▽急成長 JR東日本入社後2年間は、伊藤将(現阪神)ら先輩投手の陰に隠れてほぼ出番なし。3年目の今季も6月の日本選手権予選は1イニングだけの登板だったが、夏場に制球力を磨いたことで激変。都市対抗予選では一気にエース格に。
▽ライバル心 高校3年時に選ばれた高校ジャパンでは、根尾、藤原、日本ハム・吉田(当時金足農)らとチームメート。「自分はまだ社会人という違う分野ですけど、負けたくないという思いはあります」