崖っぷちに必要 長友佑都の「経験」と森保一監督の大ナタ…担当記者が読み解く

スポーツ報知
黙々とアップする長友佑都(中)

 日本代表は10日、千葉県内でオーストラリア戦(12日、埼玉)に向け調整した。3戦2敗という過去に例を見ない最悪のスタートを切った森保ジャパンだが、DF長友佑都(35)は、2010年南アフリカW杯、18年ロシアW杯前などチームが崩壊寸前の苦境から立ち上がった経験を元に「切り替えて強い気持ちで前に進む」と宣言。日本代表における近年の“崖っぷち事例”から、森保ジャパンが立ち直る道を、金川誉記者が読み解く。

 報道陣に公開された15分間の練習冒頭。ボール回しで誰よりも声を出し、盛り上げ役に徹したのは長友だった。「必ず次の試合、勝利するという強い気持ちを持って進みます」。フィールドプレーヤー最年長の35歳は、森保ジャパンを何とか立ち直らせようと必死だった。

 3戦で2敗、わずか1得点。最悪のスタートを切った最終予選だが、長友は過去に“崖っぷち”から生還した経験を「自分は根拠として持っている」と言い切った。崩壊寸前からW杯本大会ではベスト16に進出した10年南アフリカ、18年ロシアW杯の例を挙げ「強い気持ちで戦えるよう、自分の経験を生かして伝えていきたい」と話した。

 ロシア大会前、長友は金髪に変えて“スーパーサイヤ人”化したパフォーマンスは、チームを盛り上げた。しかし苦境から立ち上がった際に、指揮官が大ナタを振るったことも事実。ロシア大会前は、監督交代はもとより、西野監督はハリル政権時に主力を張ったFW久保裕也や浅野を本大会ではメンバー外とし、MF香川らベテランに信頼を寄せた。南アW杯前には、岡田監督がキャプテン交代、エースの中村俊輔外しなど、衝撃的な手を打った。

 今回は2度のW杯前とは状況が違う。しかし、過去に日本代表が追い詰められた事例を見ると、歴代監督は大なり小なりのメンバー変更は行ってきた。さらに、振り下ろしたナタが鋭いほど、チームは目を覚ましていた。長友は「僕はこの日本代表は実力を持っていると思う」と明かした。確かにメンバーを入れ替えても、今の日本代表が大きく力を落とすことはない。

 森保監督は当然、先発の入れ替えを検討しているはずだ。近年で最も重圧がかかる試合を、経験の浅い選手たちに託す判断は難しい。それでも東京五輪で結果を出したMF田中やDF中山、欧州に渡り成長著しいMF守田、FW古橋らの準備はできている。それはMF柴崎、エースのFW大迫、そして長友と、森保監督が信頼を寄せてきた選手たちを外すことを意味する。(金川 誉)

 ◆2006年ドイツW杯1次リーグ(L)・ブラジル戦 初戦でオーストラリアに逆転負け、第2戦でクロアチアに引き分け、第3戦ブラジル戦で2点差以上の勝利が1次L突破条件に。ジーコ監督は不動の2トップFW柳沢、高原から玉田、巻に変更するなど、先発4人を入れ替えた。前半34分に玉田が先制ゴールを奪ったが、4失点で屈した。黄金世代を擁し、過去最強と言われた日本代表は1次Lで姿を消した。

 ◆2010年南アフリカW杯 W杯直前の5月、親善試合で4連敗。岡田武史監督は大型改造を決断し、主将をDF中沢からMF長谷部へ、正GKを楢崎から川島に入れ替えた。10番のMF中村も先発から外し、MF本田圭佑を1トップに置き攻撃の軸とし、攻撃的なスタイルから堅守速攻へとシフト。本大会は2勝1敗で1次L突破。決勝トーナメント(T)1回戦でパラグアイにPK戦の末敗れたが、下馬評を覆す16強入り。

 ◆2014年ブラジルW杯1次L・コロンビア戦 初戦でコートジボワールに敗れ、第2戦でギリシャと引き分け、勝つしか決勝T進出はない第3戦。ザッケローニ監督はFW大迫に代え大久保、ボランチはMF山口に代え青山を先発させた。0―1の前半ロスタイムにFW岡崎の得点で追いついたが、後半に3失点して1―4。本田、香川ら豊富なタレントを擁した日本だったが1次L敗退となった。

 ◆2016年ロシアW杯最終予選・タイ戦 ホームで迎えた初戦・UAE戦で1―2。98年フランス大会以来、最終予選の初戦を落とした国のW杯出場確率は0%で悲観論が漂った。2戦目の敵地・タイ戦を前に、現地の日本料理店で選手だけの決起集会を開きリフレッシュ。タイ戦は先発3人を変更し、最終予選初先発のMF原口とFW浅野の得点で2―0の勝利。これを機に息を吹き返し、6大会連続W杯切符をつかんだ。

 ◆2018年ロシアW杯直前 本大会2か月前の4月にハリルホジッチ監督を解任。田嶋会長は「(選手との)コミュニケーション、信頼関係が薄れてきた」と説明した。後任には西野朗技術委員長が就任。それまでの縦に速い攻撃から、技術力を生かしたパスサッカーに方向転換した。チームは上向き、本大会では16強に進出した。

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