関甲新大学リーグの新潟医療福祉大でエースを務める桐敷拓馬投手(4年=本庄東)は、2年秋に1試合18奪三振(延長10回)のリーグタイ記録を樹立したサウスポーだ。
最速150キロの直球を両サイドに決め、スライダー、フォークを高い精度で操る。「どの球種でもカウントを稼ぎ、コンビネーションで空振りを取ることを意識しています」。2日に行われた山梨学院大とのリーグ戦初戦は2安打10三振1四球、わずか105球で完封した。
本庄東は全国的には無名で、高校3年の夏は16強入りしたものの「甲子園に行くぞ、というような思いはありませんでした」。同じ左腕で、新潟医療福祉大から中日に入団した笠原祥太郎投手に憧れを抱いて新潟の地へ。それでも最初は「楽しんでやっていただけでした」と振り返る。
転機は2年春に訪れた。リーグ戦の防御率が2ケタという屈辱を味わい「このままではダメだ」と危機感を抱いた。ウェートやジャンプトレーニングを自主的に行うようになり、高校3年時は138キロがMAXだった球速が146キロに。秋の記録達成へとつなげた。
2日の登板には、11球団25人のスカウトが熱視線を送った。目標に通算224勝のソフトバンク・工藤公康監督の名前を挙げるサウスポーに対しコントロールとフォームのバランスを評価する声が相次ぎ、巨人・榑松アマスカウト統括は「真っすぐの切れに縦変化もいい。先発もリリーフもいけそう」と称賛した。
「新潟でも全国に通用するんだということを証明したい」と桐敷。異郷で身につけた反骨心も魅力となっている。(浜木 俊介)
◆桐敷 拓馬(きりしき・たくま) 1999年6月20日、埼玉・鴻巣市生まれ。22歳。本庄東高では1年夏にベンチ入りし、秋からエース。新潟医療福祉大では1年秋からリーグ戦に登板し、通算30試合で10勝6敗、防御率2・32。変化球はスライダー、ツーシーム、チェンジアップ、フォーク。178センチ、90キロ。左投左打。