西武の辻発彦監督(62)が今季限りで退任することが5日、有力となった。就任5年目の今季は戦力がそろわず、Bクラスに低迷。この日のロッテ戦(ZOZO)に敗れ、優勝の可能性が消滅した。成績不振の責任を感じ、今季限りで辞任する意向を固めたもようだ。クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性は残しており、残り15試合を全うする。
わずか1安打で本塁を踏めず、3連敗を喫した西武。優勝の可能性が消滅し、辻監督が自身の去就について決断を下したとみられることが分かった。
3年連続Bクラスに沈むチーム再建のため、17年に就任。就任年にAクラスに導くと、18年には10年ぶりのリーグ優勝、19年には球団21年ぶりのリーグ連覇に導いた。
浅村、炭谷、菊池の主力がチームを離れた19年は、調子が上がらなかった山川を約2年ぶりに4番から外した。常に選手の成長に目を光らせ、森脇、平良ら新たな勝ちパターンも確立。豊富な経験と実績を生かした適応力と決断力で最大8・5ゲーム差をひっくり返し、戦力ダウンの下馬評を覆した。
今季は開幕早々、栗山、山川、外崎の主力が相次いで離脱。先発ローテの一角を担ってきたニールら助っ人もコロナ禍で合流が遅れ、戦力がそろわないなかでも最善を尽くしながら、指揮を執ってきた。呉念庭ら若手を起用し、熱心に打撃指導。打線が万全でない中でも、足を絡めた“辻西武”らしい攻撃で勝ちを追い求めてきた。だが、思いとは裏腹にチームは終盤まで勢いに乗り切れず、最下位の日本ハムに1差に詰められ、現在5位。借金は辻政権ワーストを更新する14まで膨らんだ。就任時には「私はいろんな名将と呼ばれる監督に数多く指導を仰いだ。監督業で役に立てればいい」と話していた指揮官。5年間で2度のリーグVに導き、大きな功績を残したが、ユニホームを脱ぐことを決めたようだ。シーズン日程が全て終了してから、正式に話し合いの場が設けられるとみられる。後任には、松井稼頭央2軍監督(45)が有力視されている。
◆辻 発彦(つじ・はつひこ)1958年10月24日、佐賀県生まれ。62歳。佐賀東高から日本通運を経て、83年ドラフト2位で西武に入団。二塁手として黄金期を支え、93年には首位打者、ゴールデン・グラブ賞を8度獲得。96年にヤクルトへ移籍、99年に現役引退。ヤクルト、横浜、中日でコーチを務めた後の2006年WBCでは日本代表の内野守備走塁コーチとして世界一に貢献。17年から西武監督に就任。18、19年は球団21年ぶりのリーグ連覇に導き、就任前は3年連続Bクラスだったチームを再生させた。180センチ、80キロ。右投右打。