バレーボール女子の五輪銅メダリストで今夏の東京大会で日本代表主将を務めた荒木絵里香(37)=トヨタ車体=が5日、名古屋市内で引退記者会見を行った。 08年北京大会から4大会連続で五輪に出場。26年間の選手生活を、「選手を味わい尽くせた」と充実の表情で振り返った。担当記者が、荒木の選手生活を語る。
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荒木が4つの五輪に出て、37歳まで現役を続ける選手になるとは、正直思わなかった。03年に成徳学園(現下北沢成徳高)から東レに入団した時に感じたことだ。186センチの長身だったが、体がいかにも重たそうで、ネット際の動きは緩慢に見えた。周囲からも「あれでは、日本代表は難しいな」という声も聞いた。
だが、驚いたのは06年、日本代表に招集された時だった。体は絞られ、動きは軽やかになり、代表に定着し始めた。荒木が主将を務め、銅メダルを獲得した12年ロンドン五輪で、監督として率いた真鍋政義氏は「1人、居残りで練習していたのはしょっちゅう。まじめで不器用なんですよ。だから人より練習したのでしょう」と振り返る。
私も「努力の人」だったと思う。会見での「うまくなりたい一心で取り組んできたが、うまくなる能力の限界を感じた」との言葉が、そのことを裏付ける。1年延期された東京五輪までの道のりは本当に大変だったと思う。ご苦労さまでした。(バレーボール担当・久浦 真一)