【復刻】早大・斎藤佑樹が感謝のスピーチ「持っているのは…仲間です」慶大との50年ぶり優勝決定戦制す

仲間の手で胴上げされる早大・斎藤佑樹
仲間の手で胴上げされる早大・斎藤佑樹

◇東京六大学野球 優勝決定戦 早大10-5慶大(2010年11月3日・神宮)

 伝説の「早慶6連戦」以来、50年ぶりとなる早慶両校による優勝決定戦は、早大が10―5で勝利し、4季ぶり42度目の優勝を果たした。日本ハムにドラフト1位指名された斎藤佑樹投手(4年)は、8回1死までノーヒットノーランの快投。バックの守乱をきっかけに5失点で降板したが、同じく西武1位指名の大石達也(4年)が後続を断った。早大は明治神宮大会(13日開幕・神宮、神宮第二)への出場権を獲得。14日に愛知学院大と初戦を争う。

◆8回1死まで無安打も… 

 夕暮れの神宮に歓喜の輪ができた。「斎藤、斎藤」。キャプテンの名を呼ぶナインの声が球場全体へと広がる。斎藤は体を仲間に預け、秋空を3度舞った。天命としかいいようがない結末。この4年間、神宮を興奮させ続けた男に、温かい拍手が降り注いだ。

 「最後に、ひとつだけ言わせて下さい」。試合後のインタビュー。3万6000人の大観衆の前でエースは意を決したように、こう続けた。「いろんな人から『斎藤は何か持っている』と言われてきました。今日、何を持っているのか確信しました。それは仲間です」。新たなステージへと向かう卒業宣言にも聞こえた。

 快挙達成なるか。超満員の客席は異常な興奮に包まれていた。最速147キロの直球に切れ味鋭いスライダー。無安打無得点の快投が続いた。「明日の新聞の1面は(斎藤の)ノーヒットノーランだな」。試合中のブルペン、福井と大石が顔を見合わせた。ベンチも5回から「ノーノー、あるよ!」と沸き立った。だが8回1死、守りのミスが相次ぎ、初めて得点圏に走者を背負う。死球を挟み、5連打を食らい5失点。大石にバトンを託した。

 「優勝するしか考えていなかったんで、ヒットが1本出て楽になった。今までもノーノーをしたことがなくて『結局できないんだな』と。プロに行ってからの、お預けです」。そして、50年ぶりとなった早慶優勝決定戦を「これまでにないエキサイティングな試合。これからの野球人生に生きる、大事な1勝」と振り返った。

 決戦の朝。メールで両親へ感謝の思いを贈っている。「野球の魅力を教えてくれたのは、お父さんとお母さん。早慶戦の魅力も最初に教えてくれたのは、お父さんとお母さんです。早慶戦を夢見て、あこがれを持つ野球少年に勇気と感動を与えられるよう、一生懸命プレーをしてきます」。自分のためじゃない。仲間のため、ファンのための130球だった。

 早大入学時、「神宮を満員にしたい」と語ったことがある。最後の早慶戦での“佑言実行”だった。息つく暇はない。4日には早慶戦のため延期していたドラフト指名についての会見に臨む。13日からは早大の初制覇が懸かる明治神宮大会に出場。選手宣誓も務める。

 ハンカチ王子と呼ばれた高校生は、4年間でしたたかな勝負師へと変ぼうしていた。もう、そんな甘いニックネームは必要ない。だが、これも運命なのか。後世に語り継がれる「11・3」はくしくも「ハンカチの日」―。やはり斎藤は「持っている」男だった。(加藤弘士)

 ◇11月3日は「ハンカチの日」 18世紀のフランスのルイ16世時代の王妃、マリー・アントワネットが「国内のハンカチはすべて正方形にすること」と命令を出し、これが定着したことから、日本ハンカチーフ連合会が王妃の誕生日となる11月2日に近い祝日を選び、制定した。

[斎藤佑樹の4年間に感謝のスピーチ] 

 本当に仲間に恵まれた4年間でした。それが財産です。

 最後にひとつだけ、言わせて下さい。

 本当にいろんな人から「斎藤は何か持っている」と言われてきました。

 今日、何を持っているのか、確信しました。

 それは仲間です。

 こうやってチャンスを回してくれた仲間がいて、応援してくれる仲間がいて、慶応大学という素晴らしいライバルがいて、ここまで成長できたと思います。

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