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【箱根への道】4年生ランナー進路特集…青学大・飯田貴之は富士通 早大・中谷雄飛はSGホールディングス

青学大出身選手として初めて富士通で競技を続行する見込みの飯田貴之
青学大出身選手として初めて富士通で競技を続行する見込みの飯田貴之
主な大学4年ランナーの希望進路
主な大学4年ランナーの希望進路

 今年も10月を迎え、いよいよ駅伝シーズンに突入した。同時に大学4年生ランナーの進路も固まってきた。1万メートルで日本人4年生最速の自己ベストを持つ早大の中谷雄飛はSGホールディングス(H)へ、同じく早大で同2位の太田直希はヤクルトに進む見込み。2年時に箱根駅伝優勝メンバーとなった飯田貴之は青学大出身選手として初めて富士通で競技を続ける予定だ。出雲路、伊勢路、そして箱根路―。大学駅伝の戦いを終えた後、次のステージに向かう4年生を特集する。

 第98回箱根駅伝まで、あと93日。4年生ランナーは学生最後の大一番を戦い終えた後、チームを巣立つ。多くの選手が卒業後に進む道を決めつつある。

 1万メートル27分54秒06の自己ベストは日本人現4年生世代最速&日本人学生歴代14位で、今季の“ドラフト1位級”といわれる早大の中谷はSGHに進む意思を固めた。SGHは近年、積極的な強化を進めており、昨年4月には青学大出身の鈴木塁人、東海大出身の阪口竜平と関颯人(いずれも24)らが入社。さらに昨年11月には12年ロンドン五輪5000メートル、1万メートル代表の佐藤悠基(34)が移籍加入した。中谷にとって、佐藤と関は長野・佐久長聖高の先輩でもある。レベルの高いチームメートと切磋琢磨(せっさたくま)し、世界を目指す。

 中谷と共に早大を引っ張る太田は、1万メートルで日本人4年生2位&日本人学生歴代16位の27分55秒59の自己ベストを持つ。マラソン日本歴代7位(2時間6分45秒)の高久龍(28)、ハーフマラソン日本記録(1時間)保持者の小椋裕介(28)らが所属するヤクルトに入社予定。静岡・浜松日体高、早大と同じ進路だった兄の智樹(23)=トヨタ自動車=とは別のユニホームを着ることになり、太田兄弟対決が注目される。ヤクルトには今年の箱根駅伝1区で区間賞を獲得した法大の鎌田航生も入社予定だ。

 青学大の飯田主将は強豪の富士通入りを希望。箱根駅伝では1年8区、2年5区、3年9区と3年連続で区間2位。2年時には総合優勝に大きく貢献するなど確かな力を持つ。富士通には東京五輪マラソン代表の中村匠吾(29)、マラソン日本記録(2時間4分56秒)保持者の鈴木健吾(26)ら日本のトップ選手がそろい、今年のニューイヤー駅伝でも優勝。飯田は実力者の先輩にもまれながら成長を期す。青学大の実質5年生、市川唯人は留年したかいもあり、愛三工業で競技を続行する見込みとなった。

 富士通と並ぶ強豪の旭化成には、国学院大のエース藤木宏太、明大ダブルエースの鈴木聖人と手嶋杏丞がそろって入社予定。2年時に箱根駅伝5区で区間賞を獲得した東洋大の宮下隼人、神奈川大の川口慧、城西大の砂岡拓磨はコニカミノルタに進む見込み。早大出身の三田裕介監督(31)が率いる新興チームのメイクスには、東京国際大の渡辺正紀、日体大の加藤広之が入社予定。国士舘大のケニア人留学生ライモイ・ヴィンセントはスズキで競技を続行する予定だ。

 大学別で、実業団に進む予定の選手数は5人の神奈川大が最多。大先輩の鈴木健吾のような選手を目指す。

 実業団で競技続行予定の異色ランナーが千葉大大学院2年の今江勇人だ。GMOインターネットグループで競技を続行する意思を固めた。箱根駅伝常連校のほとんどの選手は食事付きの選手寮で生活し、競技に打ち込める環境が整っているが、今江は独力で学生トップクラスの選手に成長した。仙台市出身の23歳は千葉市内のアパートで一人暮らし。工学研究院で学び、アルバイトにも励みながら自己ベストを5000メートル13分46秒84、1万メートル28分53秒36まで伸ばした。9月の日本学生対校5000メートルでは箱根駅伝常連校の選手に交じって6位と健闘した。工学部4年時には関東学生連合の一員として箱根駅伝に出場する実力を持ちながら、千葉大が予選会の出場権を得られずに涙をのんだが、文武両道ランナーの潜在能力は未知数。GMOで急成長した東大出身の近藤秀一(26)のような飛躍が期待される。

 また、GMOには早大から初めて千明龍之佑が加入する見込み。鹿児島の進学校、鶴丸高から指定校推薦で早大に入学した山口賢助はトヨタ自動車九州で競技を続行する予定だ。

 箱根駅伝は「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げ、1920年に創設された。「箱根への道」を全力で駆け抜けた後、「箱根からの道」が本当の勝負となる。(竹内 達朗)

◆駒大は全員引退

 〇…競技を続行する選手がいる一方で、引退を決めた選手もいる。昨季の学生駅伝2戦2勝の駒大の4年生は、全員が大学卒業を機に競技の第一線から退く予定。早大の半沢黎斗、東海大の本間敬大主将は共に5000メートルの13分台の自己ベストを持つが、一般企業に就職が内定。箱根駅伝を“花道”にランニングシューズを脱ぐ選手は競技経験を生かし、新たな道で奮闘する。

◆環太平洋大の源裕貴はNTNに

 〇…今年7月に800メートルで1分45秒75の日本タイ記録をマークした環太平洋大の源裕貴は、NTNに進む予定。NTNは04年に所属選手だった小林史和が1500メートルで日本記録(当時)をマークするなど中距離選手の育成にも力を入れており、源は成長に適した環境で世界を狙う。

青学大出身選手として初めて富士通で競技を続行する見込みの飯田貴之
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