【記者コラム】あの乱闘騒ぎを経て…元オリックス投手・西川雅人さんは第2の人生で活躍中

スポーツ報知
中島とガッチリ握手を交わす西川さん(左)=本人提供

  オリックスがパ・リーグを面白くしている。1996年を最後に、12球団で最も遠ざかっているリーグ優勝へ頑張りどころだ。10月に入れば、シーズン最終盤。同時にオフも近づき、多くの選手が岐路に立つ時期にもなる。熱心なファンの方ならご存じだろうが、オリックス在籍4年、元投手の西川雅人さん(39)は、静かにユニホームを脱いだ一人だ。

 「試合の結果はチェックしています。オリックスが勝つとやっぱりうれしいですし、僕の励みにもなりますから」。現在は故郷の兵庫・姫路市内でパーソナルトレーニングジム「BB LABO.」を経営。マンツーマンで野球指導もしている。午前9時から午後10時まで忙しく働く毎日。ジム内には、現役時代に着用した背番号「64」のユニホームが飾られている。

 四国・九州ILの愛媛から08年のドラフト5位で入団し、通算14試合と1軍で目立った活躍はできなかった。26歳でプロ入りした苦労人。1年1年が勝負だった。結果的に最後のシーズンとなった12年。熱くなるすぎるあまり、思わぬ形で名前が知られるようになった。

 リリーフで登板した同年9月13日の西武戦(西武ドーム)。初球の直球が中島(現巨人)の顔付近に抜け、乱闘寸前の騒ぎになったシーンだ。今でも「あの西川さんですよね?」と声をかけられることがあるように、動画投稿サイトの再生回数はこれまでに700万回以上。向かってくる中島に対し、西川さんも全く引かずに応戦している。「(勝負の時は)絶対に引くな」と両親に厳しく育てられたのが幼少期。「今思えば反省ばかりですね…」と苦笑いで振り返った。

 中島も同じ兵庫県出身の1982年生まれ。実はその4年後、2人は再会を果たしている。シーズン中にほっと神戸を訪れる機会があり「あの時はごめんね。応援してるよ」と当時オリックスに所属していた中島におわび。「こっちこそ同級生って知らなかったから」と相手も明るく受け流し、和解の握手=写真=とともにバッティンググローブをプレゼントしてくれたそうだ。

 中島だけでなく、縁のある現役選手は数えるほどになってきた。08年のドラフト同期で、プレーを続けているのは西勇(阪神)だけ。「当時のルーキーで僕が一番年上。新人合同自主トレで『キャッチボール、やりましょうよ』って誘ってくれたのが西でした。うれしかったですね」と懐かしそうに笑った。

 現役時代の愛称は「のりお」。ひょうきんなキャラクターで愛された。「こんな選手をドラフトで取ってくれて、普通ならできないような貴重な経験をさせてもらえた。オリックスには感謝しかないです」。今年3月、たった1人で開業した「BB LABO.」は好調。地元の人たちを中心に、市外からも人気を獲得している途中だ。17年には学生野球資格も回復。「野球に携わりたい。指導者になりたい、という夢は持っています」と目を輝かせた。まだ39歳。元オリ戦士は立派に第二の人生を歩んでいる。

(記者コラム・長田 亨)

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