重厚×品格×自信=宝塚星組スター・愛月ひかる15年の集大成

スポーツ報知
「この世界に本当に誇りを持っている」と笑顔の宝塚歌劇星組・愛月ひかる(カメラ・筒井政也)

 宝塚歌劇を12月26日付で退団する星組2番手スター・愛月ひかるが、兵庫・宝塚大劇場で、15年間の集大成の公演「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」を務めている。「宝塚は夢の世界で、愛のあるところ。つらいこともたくさんあると入ってから分かりましたが、それも含めて素晴らしい場所だと、今、改めて思います」。宙組―専科―星組と経て「自信が付いた」という男役の歩み、大事にしてきた「品格」へのこだわりなどを聞いた。(筒井政也)

 ダイナミックかつ優美な男役スターが、磨いた持ち味をフルに発揮して旅立つ。「とてもすがすがしい気持ち」で臨む卒業作。雰囲気が真逆の2本だが、ともに存在感の大きさを示している。

 「柳生―」は「魔界転生」でも有名な山田風太郎氏の怪奇時代劇が原作。独眼剣士・柳生十兵衛(礼真琴)に立ちはだかる謎の男・芦名銅伯と、その双子・天海大僧正の2役を演じる。「悪役とか不死身とか、ラスボスみたいな役は今、宝塚で自分が一番得意なんじゃないか」と笑うように、仁王立ちだけで場が成り立つ重厚感で、舞台の空気をピリリと引き締めている。

 一方の「モアー・―」は、古風な柔らかさに包まれたロマンチックレビュー。「『品格』を大事に。下級生の頃からみじんもブレなかった。最後まで突き通すのみ」と表現した「品格」が必要なショー。「白が似合う男役」の目標の極みといえる念願の場面も用意された。「『うたかたの恋』のルドルフがやりたいと、ずっと『おとめ』(名鑑)に書いていたのを岡田(敬二)先生が知ってくださって」。白の軍服姿を披露している。「お客様にうっとりしていただける場面になっているのでは。指先まで神経の行き届いた、品格ある男役像をしっかり見せられたら」

 この域に到達するには時間と覚悟が必要だった。「専科を出て星組に入った時点(ともに2019年)で、もう退団は決めていた。一番充実している時に、惜しまれて辞めたかった」という。07年入団から宙組育ち。「組替えせず、同じ組に居続けるのは一番素晴らしいと思うんですが、私の場合、上級生になっても、いつまでも『下級生感』が抜けなくて。上の人に頼っちゃうんです」と回顧する。

 入団から最もつらかったことに「『エリザベート』(16年・宙組)のルキーニ」とともに、ファンも悲しんだ「専科異動」を挙げたが、「専科時代は短かったけど、他組の下級生たちとの交流もあり『上級生として、下にいろいろ見せなきゃ』と自覚が生まれた」。さらに星組に2番手で組替えされ、「『もっと自信を持っていい』と、自分の舞台観が開けた。辞めることが見えているから悔いは残したくないし、批評も全く気にしなくなった」。試練をすべて飛躍の契機に変え、今年の「ロミオとジュリエット」の「死」では、下級生の心までもつかんだ。

 星組はファン時代からの憧れだ。「宙組も星組もくくり分けると体育会系。ち密に計算、というより、とりあえずエネルギーを出そうと。下級生で自信をなくしている人は発見できませんが、私の姿勢を後輩たちに少しでも残せたら」

 宝塚生活を「色」で例えたら?と聞いてみた。「組カラーが植えついちゃうので、長かった(宙組の)紫かと思いますが、やっぱり白でしょうか。好きな色はピンクですけど、ガタイが良すぎて膨張するので、辞めてもピンクの服は着ないかな(笑い)」。真っ白な心のキャンパスに、タカラジェンヌとして見る最後の光景を描いていく。

◆愛月ひかる(あいづき・ひかる)8月23日生まれ。千葉県市川市出身。2007年3月「シークレット・ハンター」で初舞台。第93期生。宙組に配属され、新人公演主演4度。14年「SANCTUARY」で宝塚バウホール初主演。18年「不滅の棘」で外部劇場初主演。19年2月に専科へ異動し、同11月に星組に組替え。11月3、4日に東京、同7~9日に宝塚でディナーショー「All for LOVE」を開催予定。身長173センチ。愛称「あい」「ちゃんさん」。

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