橘ケンチ「『日本酒好きだけどLDHも好き』みたいな層を作れたら」…スペシャルインタビュー4

スポーツ報知
橘ケンチ(カメラ・矢口 亨)

 2001年9月27日に「Your eyes only~曖昧なぼくの輪郭~」でメジャーデビューしたダンス&ボーカルグループのEXILEが、来週にデビュー20周年を迎える。09年からパフォーマーとして加入した橘ケンチ(41)は「ファンの方と一緒に20周年を祝いたかったが、今の状況では仕方がない。時期が来たらオリジナルメンバーを入れてライブをしたい」と、コロナ禍で迎えた節目に悔しさを見せながらも前を見据えた。EXILEに入った当時の思い出話を始め、最後のオリジナルメンバー・ATSUSHI(41)の卒業、リーダーのAKIRA(40)との不思議な縁。そしてライフワークとなっている日本酒造りの話なども聞いた。(ペン・国分 敦、カメラ・矢口 亨)<3>からのつづき

 16年から日本酒の可能性を求めて「SAKE PROJECT」を設立。最初は苦労もあったようだ。

 「この世界に足を踏み入れるまでは、日本酒業界とLDHを応援してくれた層って全然乖離していたと思います。僕がそこに入ることで『日本酒好きだけどLDHも好き』みたいな人、そういう層を作れたらうれしいなって。創業200年なんてざらにある伝統的な世界で、そこに芸能の仕事している自分が『お酒造りたい』って言っても、ちょっと色眼鏡で見られるでしょ。僕が東京から離れたお酒を造っている場所まで行って、そこでそのお酒に感動して取材を入れる。それを雑誌に載せたり映像を出したり、ニュースで出してもらったりすると、その地域がちょっとずつこっちを向いてくれるようになりました。そんな活動を地道にやっていくと、業界や各地域とより強い結びつきができると途中から思うようになりました。日本酒って土地の名士の方がお酒を造ることが多いですから、蔵元が地域のハブになっている事が多いと感じます。蔵元さんを知ることでその土地を知る事にもなりますね」

 18年には秋田・新政酒造とコラボした日本酒「亜麻猫橘」を発表した。

 「日本酒造りは面白いですよ。いろんな蔵元さんとやらせてもらって、蔵によって作り方も考えも違うので、それに触れられるのはめちゃくちゃ楽しいです。丁寧に下積みを1年ちょっとぐらいやってから、今一番人気のある蔵元・新政さんに『自分の銘柄を作りたい』とお願いしました。そこでボトルを作れたことで、他の方の目も変わってきたと思います。出来上がりを口にした時は、もう『これはうまい!』。感動する味でした。そこには自分が作ったという感情が入っていたので、他の人とか感じ方が違った可能性もあったかもしれませんが、おいしかったですね。うれしさと、いろんな感情が入り乱れていました」

 ―今までで造った日本酒でのお気に入りは何か。

 「新政さんで2年目に造った『陽乃鳥橘』ですかね。貴醸酒っていうお酒でお酒を仕込むものなんですが、甘みが強かったのでオーク樽に2か月ぐらい熟成させて出したら、それはめちゃくちゃ評判が良くて。女性でもスイスイ飲めて僕も味的に好きでした。千葉の木戸泉さんで『afs橘』を造った時には地元の農家さんに協力していただいて、(酒用の)『五百万石』という米も作りました。菅原工芸硝子さんにはお酒に合うグラスも制作していただいてオール千葉縛りで出したことがあります。

 今までは各地域の蔵元とコラボして自らの銘柄を仕込んでいたが、いずれは自前の酒蔵を持ちたいそうだ。

 「いつか酒蔵を造りたいなと思っていて、それがどういう形になるかはちょっと分かりませんが、自分の蔵は造りたい。お酒の中身ももちろんこだわりますが、酒蔵があるその土地エリア全体が共存していくのが重要で、町の方が応援してくれる形で、その土地のお米を使っている。味プラス。その土地に生まれるべくして生まれるお酒を造りたいです」

 コロナ禍でLDHの海外進出にも軌道修正が生じてきた。以前から注目していたアジア進出には変化が出てきたのだろうか。

 「10月にEXPG上海がオープンする予定で、まずはそこから始まるような形になっています。タイミングがあれば自分が上海に行くこともあると思います。今後、LDHのエンタメをアジアに向けて輸出していく動きは会社全体としても大きくなってくるはずで、自分がサポートできる範囲での動きはして行きたいと思います」

 ―最後に素に戻れる瞬間は。

 「いつだろうな。日本酒飲む時かな。家で一人で飲むこともありますが、やっぱり人と一緒に飲む方が楽しいからね。でも日本酒飲んでいる時は素に戻れるかもしれません。日本酒ってなんでも合うと思っていて、僕がずっとあて(つまみ)に推しているのはマーボー豆腐なんです。これ合いますよ。ちょっと味の濃い熟した日本酒がいいですし、“おりがらみ”という白濁したお酒も合いますね。僕は甘口の方が好きです。辛口って、痛感を刺激するんで、食事のテンポを変えるのとかお刺身を醤油付けて食べて、その余韻を辛口で切るとか、そういう方向で飲んでいました。最近は甘口とか旨口で、食事とペアリングしてマリアージュさせて、また新たな味覚の高みを目指すみたいな方向になっています。食べ物にも興味出てきてますね」

 大人である―。自分の立ち位置を考えて冷静に振る舞える。経験をきっちり生かせる能力は傑出している。

 ◆橘 ケンチ(たちばな・けんち)本名・寺辻健一郎。1979年9月28日、神奈川・横浜市生まれ、横須賀市育ち。41歳。明大理工学部電気電子工学科卒業。在学中にダンスチームに所属し、2007年新生(二代目)J Soul Brothersのメンバーに。09年3月1日にEXILE新メンバーとして加入。EXILE THE SECONDとしても活躍。11年に日テレ系「ろくでなしBLUES」でドラマデビュー。16年から日本酒の魅力を発信する「SAKE PROJECT」を設立。読書家としても有名で数々のイベントも手掛ける。180センチ、72キロ。血液型O。

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