近藤真彦の新番組開始の文化放送に感じた40年分の絆…3時代を駆け抜けてきたスターは再生するのか

スポーツ報知
28日に文化放送の新番組「近藤真彦 RADIO GARAGE」がスタートする近藤真彦

 一度のスキャンダルより40年分の絆の深さ―。リスナーに愛されるラジオ番組作りには人間味こそが必要。そんなことを感じた一つの新番組発表だった。

 昨年11月に25歳年下の一般女性との不倫が報じられ、無期限の活動自粛。4月30日付けでジャニーズ事務所を退所し、約10か月間、活動自粛していた歌手・近藤真彦(57)が今月7日、文化放送のラジオ番組「松井佐祐里“new normal”の小部屋」にボイスメッセージを寄せた。

 「新たな気持ちで芸能活動とレース活動と向き合い、進んでいく決意です」と芸能活動への復帰を宣言した上で再開後初仕事として、28日からの自身がパーソナリティーを務める同局「近藤真彦 RADIO GARAGE」(火曜・午後9時半)開始も発表した。

 近藤は同日の放送冒頭で「個人的な不祥事の問題で、皆さまに大きな心配と多大なるご迷惑をおかけしました」と謝罪。後輩の「少年隊」東山紀之(54)から「大きな疑問が残っている」と批判を受けた事務所退所についても「この度の件がきっかけになったことは間違いありません。同時にあと数年で60代。思い余るものもありました」と心情を吐露。レースとタレント業の両立の難しさなどを説明した上で「これ以上、ジャニーズ事務所に迷惑はかけられない。自分の思いを打ち明け、話し合いを重ねた」と告白した。

 毎週火曜日午後9時半に「近藤真彦 くるくるマッチ箱」を放送していた文化放送にとって「―RADIO GARAGE」は約10か月ぶりとなる同時間帯でのパーソナリティー復帰。5月にレーシングチームの監督としてレースに復帰。6月にはゲームのPRイベントに監督として出席していた近藤がタレントとしての再出発を図ることになる。

 1年近く活動を自粛していた近藤への新番組用意。異例の展開に絆の深さを感じたから、初回放送1週間前の21日、オンラインで行われた同局・斉藤清人社長の定例会見に注目した。

 会見冒頭、「10月改編の中で私から近藤さんの新番組について、お話します」と切り出した斉藤社長。

 「近藤さんが『3年B組金八先生』で高い学ランを着て、センセーショナルに登場したのが、今から42年前の10月でした。芸能活動42年と言うのは非常に偉大であり、42年間、トップで走り続けてきた芸能人として敬意を払います」と、まず話した。

 その上で「新番組は近藤さんのファンに対する番組であると同時に昭和、平成、令和の芸能を語ることができるパーソナリティー・近藤さんの番組と捉えております」と説明。「私も偶然、近藤さんと同じ年ですが、日本の芸能史、芸能裏面史まで語れる貴重なパーソナリティーとしての番組となります」と続けた。

 無期限活動休止から10か月を経ての芸能活動再開について「ジャニーズ事務所も離れたご本人と話し合いを重ねて参りました。11月にはコンサートもされる近藤さんの新たなスタートにあたり、全く新しい近藤真彦としてラジオの舞台に立ってほしいということで丁寧に(準備)作業をしてきました。大いに期待しています」と斉藤社長。

 近藤との交渉窓口となった村田武之コミュニケーションデザイン部長も「57歳の等身大の男としての近藤さん自身が芸能復帰するにあたり、ラジオからリスタートしたいという思いが強く、この番組からスタートすることになりました」と明かした上で、既に初回の収録を終えた近藤の「当たり前のことが当たり前じゃないことに気づいた。改めてラジオで言葉を発することの難しさを知り、緊張しています。言葉を大事にして発進していきたい」という言葉を紹介した。

 振り返れば、斉藤社長は6月から毎月の定例会見のたびに休止中だった「くるくるマッチ箱」の今後について聞かれ続けた。そのたびに「文化放送の番組をファンへの説明の場にしていただきたいという思いはあります。デビュー前からのお付き合いで一朝一夕には成り立たない関係。そのお付き合いは大切にしたい」とエールを送り続けた。

 7月の会見では「ちょっと踏み込んだ発言を致しますが、ご家庭内のことはご家庭内で解決していただければ私は構わないと思います。事務所を退社され、2年前の7月にジャニー喜多川社長が亡くなりました。ジャニー社長への思い、後輩への思い、ファンへの思い、今後の活動について、こうしたことについては、ぜひ、近藤さんの言葉が欲しいという風に私は思っております」と文字通り驚くほど踏み込んだ言葉を口にしたのを覚えている。

 「金八先生」でのデビュー後、80年12月には「スニーカーぶる~す」で歌手デビュー。翌年には日本レコード大賞などの最優秀新人賞を総なめ。15年に「ギンギラギンにさりげなく」で白組トリを務めるなどNHK紅白歌合戦にも数多く出演してきた近藤は、確かに昭和、平成、令和の3時代を駆け抜けてきたスターだ。

 そんなタレントとしての希少価値を一度のスキャンダルで潰すのは惜しいし、長年、一緒に番組作りをしてきた絆は今後も決して途切れない―。斉藤社長始め文化放送のスタッフたちが今回の新番組スタートにあたり考えたのは、そんな、どこか浪花節的な思いなのではないか。

 だが、待ち受ける現実は、そんなに甘くない。近藤のラジオでの再出発を速報した「スポーツ報知」のWEB記事には「誰が番組を聞くのか?」や「マッチって、そんなに大物なの?」などの厳しい言葉が並んだ。

 それでも私は昭和の香りが漂う近藤と文化放送の絆の物語が嫌いではない。孤独なリスナーの耳元にもそっと寄り添うのが最大の魅力であるラジオというメディアは、そんな温かさこそ失ってはいけないとも思う。

 10か月をかけて舞台は整った。後は「当たり前のことが当たり前じゃないことに気づいた」近藤が心配をかけ続けたスタッフたちに、そしてファンたちに、そっと寄り添うような番組を届けるだけ。ラジオの向こうのたった1人のリスナーを喜ばせ、勇気づける―。それができた時こそ、芸能人・近藤真彦が完全復活を遂げる時だと、私は思う。(記者コラム・中村 健吾)

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