仮面ライダー祝50周年!“大阪弁&原チャリライダー”がんがんじい「古き良き日本の文化」

「仮面ライダー」の「がんがんじい」のフィギュアを手に笑顔の桂塩鯛(右)
「仮面ライダー」の「がんがんじい」のフィギュアを手に笑顔の桂塩鯛(右)

 1971年4月に誕生したスーパーヒーロー「仮面ライダー」は今年、50周年を迎えた。

 69年生まれの記者は、1号・2号は再放送で見たはずだが、V3(73―74年)はリアルタイムで見たことをしっかり覚えており、「仮面ライダーBLACK RX」(88―89年)までの昭和ライダーシリーズ、そして同時代の特撮ヒーローは、未成年期にに多大な影響を与えられたコンテンツだ。あとはアイドル、お笑い、プロレス…。それぞれ、現在担当している宝塚歌劇の魅力とも通じる部分を感じている。

 13年の弊紙・円谷プロ50周年特集号では、「怪獣ブースカ」(66―67年)「マイティジャック」(68年)などの満田かずほ監督(84)、ウルトラシリーズの“うずまきオープニング”で知られる光学合成技師・中野稔さん(今年4月死去、享年82)にインタビューする機会に恵まれた。だが残念ながら、ライダー関係者に話を聞いたことはなかった。

 せっかくの記念イヤー。記者なりに何かしたいなと思っていると、10月24日に大阪・梅田のサンケイホールブリーゼで独演会を開催する落語家・桂塩鯛(66)を取材するチャンスを得た。

 塩鯛師匠は桂都丸(とまる)時代に、いわゆる「スカイライダー」の「仮面ライダー」(79―80年)にレギュラー出演。史上初の大阪弁ライダー「がんがんじい」を演じた。節目の年に、師匠に当時の話を聞いてみた。

 スカイライダーは、「ストロンガー」(75年)以来4年ぶりに復活したシリーズで、“空飛ぶライダー”として話題だったが、1号ライダーの原点に回帰したデザインやストーリーは目新しくなく、ウケはイマイチだった。「視聴率も低迷したいたそうです。ちょうどその頃、明石家さんまさん、島田紳助さんがテレビで人気で、大阪弁の芸人さんが重宝され始めていた頃。『大阪弁を使う怪人を入れてみよう。誰かおらへんか? 若手のはなし家でも、誰でもいい』ということになったらしいですわ」(塩鯛)

 テコ入れへ、スタッフは急きょ、在阪の芸能事務所から宣材写真をかき集めた。「普通ならオーディションとかしますが、ものすごく急いではったようで、写真だけで決まった。僕になったのは『一番ぽちゃっとしていた』のが理由。当時90キロありましたから。そら、うれしかったですよ。『仮面ライダーですか!?』って。でもね、大阪弁さえ使えれば誰でもよかったんですよ。これ、被ってますから」と記者持参の「がんがんじい」のフィギュアマスクを指さした。当初は声だけの出演のみで、顔出しする予定はなかったのだ。

 全54話の第34話目で初登場した「がんがんじい」は、変身するライダーではなく、普通の青年が胸に「GG」とデザインした自作のよろいを着た自称「日本一のスーパーヒーロー」。特殊能力はなにもなく、ネオショッカー(スカイの敵)のザコキャラ「アリコマンド」との戦いで笑わせ、ドラマのコメディーリリーフ的な役割を果たした。買い物かご付きのママチャリ風の原付バイクに乗っており、「怪人」というより、シリーズ唯一無二の「自力型ライダー」「原チャリライダー」と表現していいだろう。

 「大泉学園へ月に2回ほどアフレコに行ってました。でも僕は入門(77年)して3年。右も左も分からない。毎日放送の帯番組にも出してもらってましたけど、肝心な事はしゃべったりしてませんでしたし。全然できなかった。録音スタジオでマネジャーは『胃が痛い』って」

 すると山田稔監督が「都丸さんの方がもっと痛いですよ」とフォローしてくれたという。「『ゆっくりやってもらったら結構ですから。落ち着いて』と。優しい監督でね。当時の出演者テロップは『ガンガンジーの声 謎の人?』(当初テロップ表記はカタカナ)。これではあまりにも気の毒だと、山田さんが顔を出すようにしてくれたんです」。そして第41話目で「がんがんじい 実は…矢田勘次 桂都丸」として正体が明かされ、スカイライダー・筑波洋役の俳優・村上弘明との初共演が実現した。

 以降、がんがんじいはスカイライダー公認の相棒に。「『がんがんじい、やってます』と言うたら、喜ばれるようになって」と一躍、人気者に。「(ざこばの兄弟子の)桂枝雀師匠の子供(落語家・桂りょうば、アーティスト・CUTT)が仮面ライダーファンで。枝雀師匠とラジオをやっていて、家に車で師匠を送り迎えしてたんですが、帰ると2人が学校の友達をぎょうさん連れて家の前で待ってるんです。『これから、がんがんじいが帰ってくる』って(笑い)。サインもせがまれて。もちろん『がんがんじい』と書く。『都丸』なんて書いたら『なに、これ?』となる」

 はなし家仲間からも依頼が。「『がんがんじいの友達や』って言うてしもたんや。ちょっとウチに来てくれへん? って。なんでやねん!」。営業の仕事も増加した。「百貨店の屋上で仮面ライダーショーに。村上君は来ませんが、がんがんじいは行かなアカン(笑い)」

 スカイライダーは、がんがんじい投入など路線変更が起爆剤になり、終盤、盛り返した。「撮影は夏で、むっちゃ暑かったけど、ものすごくいい思い出ですね。青春? そうですねえ」。ちなみに、都丸として初登場したのは「怪談シリーズ」で「口だけの怪人『クチユウレイ』とか、化け猫の怪人『ドロニャンゴー』とかいましたね(笑い)」。サンケイホールの独演会では幽霊ネタで笑わせる「不動坊」「皿屋敷」を演じるが、何の脈絡はないとはいえ、偶然にもライダーの思い出とも重なった。

 半世紀に及ぶ長い歴史を支えた一員としては「50年も続くなんて、うれしいですね。ウルトラマン派と仮面ライダー派って分かれるんです。等身大で人間的。それがライダー派の主張。世界征服を狙っている組織が、なぜか公園で子供をひどい目に遭わせている。そんな時に助けに来てくれる。それを真剣に見ていた人たちが、今、日本を支えている。いい時代でしたよね。いろんな意味で、古き良き日本の文化があるんじゃないかな」と、しみじみ語った。

 自身も来年は芸歴45周年を迎える。「ざこば一門は芝居ばなしをあまりしていない。まだ開拓していない分野を、これからやっていこうかな」と50周年、さらに先に目を向けるが、記者としてはぜひ、令和のライダー劇場版で「がんがんじい」の復活劇を望む。「チャンスがあれば? もちろん出ますよ!」。孫に「三代目がんがんじい」を継がせているご隠居さんの設定などで、東映さん、どうでしょう? 現代的なカッコよさはないけど、お茶目で、今でも確実に子供にウケる“おもろいライダー”だと思いますよ。(記者コラム・筒井 政也)

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