【DeNA】「最高のシナリオ」 なぜ田中健二朗の3年ぶり復帰登板は9回2死からだったのか?

スポーツ報知
12日の阪神戦、9回2死から復帰登板した田中健二朗

 DeNA・田中健二朗投手(31)が、12日の阪神戦(横浜)で、3年ぶりの復帰登板を果たした。19年8月にうけた左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を乗り越え、18年9月16日の阪神戦(横浜)以来、1092日ぶりに、1軍のマウンドに戻ってきた。

 長い道のりを経て立った本拠地は、8―1と7点をリードした9回2死。名前がコールされると、スタンドでは涙するファンも見られた。右翼ポール付近にあるブルペンからは、救援陣がグラウンドに出てきて見送った。

 このシチュエーションでの登板。川村投手コーチは「試合前から(計画)はなかった」と振り返る。7点のリードを考えれば、イニングの頭から起用していてもおかしくはなかった。イースタンでは37試合に登板して防御率3・79。8月21日以降は6試合連続無失点と調子は上向きで、12日に今季初めて1軍に昇格した。それでも2死からマウンドに送った理由を同コーチは「最後を締めるというのは一番いいかなと。回の頭ではなくて。勝ちゲームの最後を締める復帰が最高のシナリオ。1人というのが一番よかったかな」と説明した。

 イニングの途中からの登板となると、一時試合は止まり、ファンが注目した状態で登板する投手がコールされる。“いつの間にか代わっていた”状態にもなるイニング頭からの登板よりも、目立つことになる。これまでも引退試合などでは、このように投手の一挙手一投足をファンが見守りやすいイニング途中からの登板を、他球団でもあえて選択したこともあった。「チームの功労者だし、これからまだまだやって欲しいという思いも込めて」(川村コーチ)と、チームからもナインからも愛された田中健だからこそ、三浦監督の意向もあって用意された舞台だった。

 とはいえ、川村コーチが「色んな状況が重なって、点差があったからできたことでもある」と振り返ったように、大量リードがあったからこそ出来たことでもある。僅差であればエスコバー、山崎、三嶋ら勝ちパターンの投手が起用されただろうし、負けていればファンの心境もまた違っただろう。実際に、起用が決まったのは8回終了時に、ブルペンで鳴ったベンチからの電話。9回先頭から登板したシャッケルフォードが崩れた場合に備え、伊勢も投球練習を行っていたという。

 16、17年には2年連続60登板以上でブルペンを支えた経験を持つ左腕。18日には32歳の誕生日を迎える、投手陣最年長だ。四球、投ゴロで復帰戦を終え「一軍の舞台に戻ってくることができホッとしています。周りの方々のサポートがなければ、今日を迎えることはできなかったと思うので本当に感謝したいです」。一度は育成契約で3ケタの背番号「046」にもなったが、新たなスタートを切った。

 今後は再びブルペン陣の一角としてフル回転することが期待される。「健二朗の勝負運、ピッチャーとしての何かを感じさせる復帰登板だった」と川村コーチ。完全復活への道のりは、まだまだこれからも続いていく。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請