◆JERAセ・リーグ 広島12―5中日(9日・マツダスタジアム)
広島・鈴木誠がプロ野球記録に王手をかけた。初回1死の第1打席で26号ソロを放ち、1987年のランス、2005年の新井貴浩に並ぶ球団タイ記録となる6試合連続本塁打をマーク。72年の王貞治(巨人)、86年のバース(阪神)の7試合連続に、あと1に迫った。同点の4回には決勝の27号2ラン。直近13戦12発と驚異的な量産を続け、10日の阪神戦(マツダ)で日本記録に挑む。
豪快なスイングで放たれた鈴木誠の打球は、逆方向に伸びて一番深い右中間席に飛び込んだ。26号ソロは87年のランス、05年の新井貴浩に並ぶ球団タイ記録となる6試合連発。記録について、「いや、うれしいです」と話すにとどめたが、プロ野球記録の7戦連続に王手をかけた。
初回の第1打席で、いきなり決めた。勝野の3球目の高めスライダーを完璧に捉えた。直前に3番・西川が9号2ランを放ち、序盤にチームを勢いづける2者連続本塁打。「龍馬が、僕の苦手な得点圏で先に打ってくれたので、楽に打席に立てた」。直近5試合は、全て第1打席にアーチを放っている。
球団記録に並んだだけにとどまらない。同点に追いつかれた直後の4回、2戦ぶり1試合2発となる勝ち越し27号2ラン。連続本塁打を続ける6戦で8発。6回にもチャンスを広げる中前打を放ち、3安打3打点。「4番に座らせてもらっている以上は4番が打てばチームが勢いづく」と胸に抱く言葉を強烈に体現するように、4番のバットで打線の大量15安打、今季最多タイ12得点を誘発した。
侍ジャパンの4番として金メダルに貢献した東京五輪後は、8月26日の巨人戦(東京D)から13戦12発と驚異的な量産態勢。五輪では、原点に立ち返った。「野球本来の楽しさを久々に味わった気がした。侍を通して本当の自分らしさを感じた」。表には出さないが、自身の結果、チームの結果にこれまで以上に一喜一憂する気持ちを忘れないことで好調を持続。打率3割3分3厘、9本塁打、27打点で7、8月度の「大樹生命月間MVP」に選ばれ、9月も8戦8発、打率4割6分9厘の大暴れだ。
6戦以上の連発は18年の中村剛也(西武)以来史上16人目ながら、7戦連続は過去、72年の王貞治(巨人)、86年のバース(阪神)の2人しかいない。日本代表の4番を担った主砲が、35年ぶりとなる偉業に挑む。(畑中 祐司)