【西武】栗山巧、生え抜き初2000安打 38歳20年目金字塔

9回1死、2000安打を放った栗山巧は、中村剛也から、花束を受け取りグータッチ(カメラ・佐々木 清勝)
9回1死、2000安打を放った栗山巧は、中村剛也から、花束を受け取りグータッチ(カメラ・佐々木 清勝)

◆パ・リーグ 楽天8―5西武(4日・楽天生命パーク)

 西武・栗山巧外野手(38)が4日、楽天戦(楽天生命)の第4打席で左前打を放ち、史上54人目となる通算2000安打を達成した。プロ20年目、2041試合目での到達。西武の生え抜きの選手が達成したのは初めてだ。敵地のファンからも拍手を送られた“ミスター・ライオンズ“は「支えがあってこその記録」と喜びをかみしめた。

 重ねてきた努力はウソをつかなかった。栗山の思いを乗せた打球が左前で弾んだ。入団当時の田辺2軍打撃コーチ(現3軍統括コーチ)から教わった逆方向へ押し込む打撃で節目を飾り「ずっと練習していたことが出たのはうれしい」。両親が見守るグラウンドで同期の中村らから花束を贈られると、緊張が解けたかのように笑った。

 38歳の誕生日翌日に待望の瞬間が訪れた。3―8の9回1死、元チームメートでもある牧田―炭谷バッテリーの95キロ変化球を左前へ運んだ。残り1本で迎えたこの日の試合だったが、第3打席まで快音は響かず。最終回に執念の一振りを見せた。

 高校時代は長距離打者だった。新人合同自主トレで同期の中村のティー打撃を見て「物が違う」とアベレージヒッターを目指した。1軍デビューは3年目の9月。入団時から「必ずレギュラーを取る」と思いは人一倍強かった。

 「とがりまくってた。負けず嫌いでスーパーやんちゃ坊主」と明かしたのは当時から仲の良い上本2軍打撃コーチ。強い覚悟で目をギラつかせていた栗山は、プロで生き残るために「体づくり」に没頭した。2年目オフから毎日、吐くほどストイックに追い込み「早い段階で(トレーニングも)自分に合うものが見つかった。今でも痛いところをごまかしながらでも、やっていけるのはトレーニングを継続してきたおかげ」と話す。

 06年8月1日のロッテ戦(千葉マリン)では空振りした際に右手有鈎(ゆうこう)骨を骨折。その手で直後に満塁弾を放った。肉離れ寸前の足をテーピングで固定し、強引に出場したことも度々あった。

 その強い精神力から、周囲に弱みを見せることはほとんどなかった。端正なルックスに後輩が憧れるたたずまい。まさに完璧―かと思いきや、意外な一面もある。プロ3年目、6連戦終わりにトレーニングへ向かう電車で寝落ち。その際、姉からもらったブルガリの財布を盗まれた。ショックだったのはお金を盗まれたことより、姉からのプレゼントを失ったこと。直後、上本に電話で「お金貸してください~」と泣きついたのは昔の話だ。

 物を大事にする姿勢は野球道具も同じ。打った後にバットを一度も投げたことがないという。ある時のベンチ。西武在籍時の炭谷が栗山のバットをまたぐと「またぐな! こらぁ!」と声を荒らげたこともある。おっちょこちょいな反面、野球とは真摯(しんし)に向き合い、試合中は気になったことをすぐさまメモする。1打席ごとに振り返り、大切な相棒で安打を積み重ねてきた。

 今年で38歳。「これからが勝負。期待される場面でどんなヒットでもいいから打つ。それが目指すところ」。金字塔はまだまだ通過点に過ぎない。(森下 知玲)

栗山の年度別打撃成績
栗山の年度別打撃成績

チーム生え抜き打者の通算2000安打以上
チーム生え抜き打者の通算2000安打以上

 ◆栗山 巧(くりやま・たくみ)1983年9月3日、兵庫・神戸市生まれ。38歳。育英高で2000年春夏の甲子園に出場し、夏はベスト4。01年ドラフト4巡目で西武に入団。08年に最多安打のタイトルを獲得して日本一に貢献。08、10、11、20年にベストナイン、10年にゴールデン・グラブ賞を獲得。14年、プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「ゴールデンスピリット賞」を受賞。177センチ、85キロ。右投左打。既婚。推定年俸1億7000万円。

 ◆栗山巧2000安打の軌跡

 ▼01年11月19日 育英高から01年のドラフト4巡目で指名。走攻守そろった外野手で、特に打撃が高評価。

 ▼04年9月24日 近鉄戦(大阪D)で「9番・左翼」でプロ初出場。7回に小池から右前へプロ初安打。「打撃だけではなく、守備でも走塁でも積極的にいかなくては」

 ▼05年4月13日 日本ハム戦(インボイス)で、3回に右翼ソロのプロ初本塁打。「スタメンで使ってもらっているけど、1打席にかける気持ちは変わりない」

 ▼13年4月16日 オリックス戦(西武D)で3回に東野から左前適時打を放ち、通算1000安打を達成。

 ▼19年8月11日 ロッテ戦(ZOZO)で8回に松永から決勝弾となる勝ち越し2ランで通算100本塁打。プロ野球史上295人目。通算1814試合目での達成は09年の石井琢郎(広島)の2202試合に次いで2番目に遅い達成となった。「1本1本の積み重ねなのでうれしい」

 ▼19年8月31日 ソフトバンク戦(メットライフ)で、3回に松田遼から右前安打を放ち、通算1807安打。石毛宏典氏が持っていた球団最多安打記録を更新した。「憧れの大先輩の記録を超えられたことは本当にうれしい」

 ▼21年6月12日 中日戦(メットライフ)で通算2000試合出場を達成。プロ野球史上52人目。「メットライフでファンの前で節目の記録を迎えることができてうれしい」

栗山巧の通算成績
9回1死、2000安打を放った栗山巧は、中村剛也から、花束を受け取りグータッチ(カメラ・佐々木 清勝)
栗山の年度別打撃成績
チーム生え抜き打者の通算2000安打以上
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