【ヤクルト】今野龍太を支える「プライド」 戦力外からの復活、登場曲に込めた思い

スポーツ報知
今野龍太

 私の最初の配属先は、文化社会部の芸能担当だった。約2年間、音楽、映画担当を務めさせていただいた。その影響もあるのかもしれない。プロ野球担当になってからも、選手たちの登場曲に注目してしまう。

 各選手が思いを込めた選曲する中で、注目している投手がいる。ヤクルト・今野龍太投手。イメージとしては明るく、テンションが上がる曲を採用する選手が多い中、右腕の登場曲、高橋優さんの「プライド」はマイナスなメッセージから始まる。

 「君ではダメだと言われてしまったか? 君じゃない人の方がいいと諦められたか?」

 強烈な印象の歌い出しは、右腕の野球人生とも重なる。宮城・岩出山高から13年ドラフト9位で楽天に入団。この年のドラフトでは支配下で最後に指名された選手でもあった。1年目の14年から1軍で5試合に登板したが、15年10月には右膝の手術を受けて育成契約に。17年に再び支配下登録を勝ち取り、19年にはプロ初勝利も挙げた。しかし同年オフに戦力外通告を受け、20年シーズンからヤクルトに加入した。

 新天地での一歩を踏み出した昨季から、登場曲を「プライド」に変えた。なぜこの曲だったのか。今野は言う。

 「1回クビになっているし、そんな期待されていない状態というか、ヤクルトに来て期待されてなかったとは思う。曲を聴いて、今までの自分の状況と似ているのかな、というのがあってあの曲にしました」

 同曲にはこんな歌詞がある。

 「まだやれるのにチキショーと叫ぶ心はあるか?」

 まだやれる―。胸に秘めた思いは、ヤクルトで花開きつつある。昨季は20試合に登板すると、今季は2日時点で自己最多の昨季を上回る41試合に登板。リード時や僅差の場面での登板も増え、5勝0敗17ホールド、防御率2・38とチームを支えている。

 2年前に味わった戦力外の経験は、変化のきっかけを与えてくれた。

 「同じことを繰り返していたら、楽天時代と同じようにすぐにクビになってしまう。変わる勇気。それが大切だと思います。ヤクルトに来て、同じことを繰り返していたら成長もしないし、すぐにクビになる。変われる勇気は出たのかなと思うし、気持ち的に余裕ができた。どんどん試したり、挑戦したりというのもあります」

 結果が全てのプロの世界で生き抜くために、迷いは消えた。

 現在の働きぶり、起用法はまさに「君でなきゃダメだ」という首脳陣からの信頼とも言えるだろう。「プライド」のラストは、次のメッセージで締めくくられている。

 「まだやれるのにチキショーと叫ぶ君が主役の明日を さぁ始めよう」

 力強いメッセージに背中を押され、マウンドに向かう瞬間、今野は主役になる。どん底からのサクセスストーリーは、まだ序章に過ぎない。(ヤクルト担当・小島 和之)

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