◆パ・リーグ 日本ハム6ー6オリックス(2日・札幌ドーム)
育成出身で、8月31日に支配下選手になったばかりの日本ハム・宮田輝星(ほくと)外野手(23)が自慢の快足を発揮した。オリックス戦の8回1死一塁で代走で登場。プロ初盗塁の二盗を成功させ、石井の左前打で一気に生還した。中学時代から磨いてきた「時空を超えるスライディング」で初得点を記録。チームは9回に4点差を追いつかれ引き分け。今季初の5連勝はならなかった。
宮田が時を駆けた。8回2死二塁。石井の打球は前進守備の左翼・吉田正の前で弾んだ。猛チャージをかけられショートバウンドで処理した時点では、三塁ベースを回ったばかり。普通の足では難しいが、「打つ前から(内野を)抜けたら行くぞ」と決めていた。2バウンドの返球。タッチをかわすように左足から本塁に滑り込んだ。間一髪。セーフのコールに自然とガッツポーズが飛び出した。
「中高大と『時空を超えるようなスライディング』と呼ばれていた。プロに入ってからもやろうかなって決めていた。あれは小さい頃からやっていた」。50メートル5秒9の俊足を生かすために、自然と身についた一芸。「感覚的には走りながら倒れていく感じ。滑るってよりも、走りながら斜めになっているだけって感じです」と胸を張った。
求められる仕事をやってのけた。1軍デビューを果たした1日、プロ初打席は二ゴロ。「打席では全く緊張しなかった。打席よりもあしたからの代走の方が緊張する」と語っていたが、この日8回1死一塁で代走起用。「(二塁に)行くのが仕事。行き切りました」。2球目にスタートを切り鮮やかに二盗を成功させた。
本拠地・札幌Dを快足で沸かせた。栗山監督は「大きかったね。宮田じゃないと帰って来られない走塁」と絶賛。惜しくも勝利にはがらなかったが、1軍の戦力として十分な力を証明した。「これから僕が求められるのは、1点差や緊迫した場面での代走や守備固め。もっと緊張した場面で次は行けるように。チームの勝ちにつなげられるように頑張りたい」と宮田。次こそは、自慢の足で勝利へ導く。(秦 雄太郎)
◆宮田 輝星(みやた・ほくと)1997年12月2日、鹿児島・出水市生まれ。23歳。出水小3年でソフトボールを始める。出水中では軟式野球部に所属。出水中央高では3年夏に県8強。福岡大では3、4年時に全日本大学選手権に出場した。19年育成ドラフト1位で入団。21年8月31日に支配下選手契約を締結。177センチ、75キロ。右投両打。年俸520万円(金額は推定)。