◆JERAセ・リーグ 巨人2―0ヤクルト(1日・京セラドーム大阪)
巨人の菅野智之投手が先発し、131日ぶりの白星となる今季3勝目を挙げた。エースは8回まで投げきり、1安打無失点8奪三振の好投。元巨人監督でスポーツ報知野球評論家の堀内恒夫氏が、復調の菅野を絶賛した。
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そんじょそこいらの投手じゃない。「実績がある投手」「本物のエース」だ。復活の白星は、巨人にとってただの1勝では測れない大きさがある。菅野の投球は頼もしささえ感じさせる内容だった。
前回登板の内容が悪かったから、立ち上がりは不安げに見ていたが、確実に状態を上げてきた。初回こそ重心が右足に残っていたが、体重移動が出来て腕が振れるようになった3回からは、いい時の菅野に戻った。ストレートに力強さが出て、前回は緩く、大きく曲がっていたスライダーは、指に掛かって、小さく、鋭く曲がるようになった。スライダーは少し変化するだけで打者は戸惑うのだが、まさに菅野の特許品で幻惑した。
小林のリードも見事だった。割と広くストライクを取ってくれた芦原球審の特徴を察知して、キレが戻ったスライダー、カットボールを多めに使った。自分をよく知ってくれている捕手を相手に、菅野もあまり首を振ることがなかった。安心して投げられたのだろう。
結局、ヤクルト打線を「菅野」という“名前”で抑え切った。「悪い表現」と捉えられるかもしれないが、そうではない。それだけの球が菅野に戻って来た証しでもあるのだ。(堀内恒夫=スポーツ報知評論家)