自転車女子・杉浦佳子、日本選手最年長50歳で金メダル! 「栄光に向かって全力疾走しました」

スポーツ報知
金メダルを獲得した杉浦(ロイター)

◆東京パラリンピック 自転車 (運動機能障害C1~3)決勝(31日、富士スピードウェイ)

 自転車女子ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~3)で、初出場の杉浦佳子(50)=楽天ソシオビジネス=が25分55秒76で金メダルを獲得した。折り返し8キロ地点までに後続を引き離し、20秒以上の大差を付ける完勝。日本選手では夏冬通じてパラリンピック史上最年長の金メダリストとなった。

 ゴールが見えた。杉浦は先頭で急勾配の上り坂を抜け、ラスト150メートルの直線。腰を浮かし、歯をくいしばった。「ゴールの向こうには栄光が待っていると聞いていたので、自分はただ、栄光に向かって走ろうと全力疾走しました」。右手でツエをつき、左半身を支えられながら取材エリアに現れると「ちょっとまだ、アンビリーバボー」と目を丸くし、「お世話になった方に、少しは恩返しができたかな」と笑った。

 2016年4月、趣味だった自転車レース中の下り坂で転倒。頭蓋骨を粉砕骨折し「高次脳機能障害」の診断を受けた。事故前は薬剤師として働いていたが、一般的な鎮痛剤の「ロキソニン」が何か分からず、漢字が読めない。父には「どちらさまですか?」と尋ねた。

 最初のリハビリは、小学生用の漢字、計算ドリルだった。退院後にパラサイクリングを始め「この年で記録が伸びるのが楽しい」と急速に記録を伸ばし、18年世界選手権でV。記憶力は国際大会に向けた英語の勉強ができるまでに回復した。

 「スプリント力では勝てない」年下の選手に勝つ秘策は「記憶」だった。3か月前から本番のロードマップを脳裏に焼き付けて対策を練った。細かいコーナーがいくつもある難コースを、権丈泰巳監督は「繰り返し、何度も何度も同じ事を伝えた」。杉浦は前夜、受けた助言を書き込み「下りとコーナーは足を休める。計画通りに走れた」とうなずいた。

 事故から約5年、「もう自転車は乗れない」と告げられたが、再びハンドルを握り、世界の頂点にまで上り詰めた。3日にはロードレースが控える。「これで最後でいいかな」と引退も示唆しながら「希望が見えない方がいたら、こういう人生になる可能性がある、希望がまた見えるかもしれないと思ってもらいたい」と新たなメッセージを発信していく。(内田 拓希)

 ◆日本勢の最年長金メダル 杉浦は50歳8か月で金メダルを獲得。これまで日本勢で最年長金メダルだった、1996年アトランタ大会での柔道男子71キロ級・牛窪多喜男の46歳6か月を大きく更新した。さらに、杉浦はこれまで日本女子最年長メダルだった08年北京大会の陸上100メートル車いす銅の田中照代の49歳3か月も更新。なお、男子の最年長メダルは同大会陸上円盤投げ座位の大井利江で60歳0か月。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請