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元巨人の広畑塁がオーストリアでのシーズン終了を報告 終盤好調の裏にムネリンの助言

ウィーン・ワンダラーズの坂梨広幸監督兼選手(左)と広畑塁
ウィーン・ワンダラーズの坂梨広幸監督兼選手(左)と広畑塁

 オーストリアのプロ野球リーグ(ABL)のウィーン・ワンダラーズと契約を結んだ元巨人育成の広畑塁捕手(26)が、当地での生活をリポートする「オーストリア野球奮闘記」(随時掲載)。今回はその第4回目。

 みなさん、こんにちは。こちら、オーストリア・ウィーンでの野球シーズンが終わりました。

 まずはシーズンが7月31日に終了、そのあとプレーオフに進出したのですが、ファーストステージで敗退。リーグ戦はそこで終了しましたが、その後コロナ禍で小規模開催となったフェデレーションカップでは、ベルギー、クロアチアのチームと対戦しましたが、最下位に。これで僕のウィーン野球は今季終了です。

 シーズン成績は22試合に出場して、79打数19安打、打率2割4分1厘、長打率4割3分、2本塁打、34打点でした。思い出すのは2本目のホームラン。7月14日に打ちましたが、それまでの日々は、結果が出なくて悩んでばかりだったんです。

 そんな中で打てた一発の裏には、恩師の助言がありました。恩師とは…こちらに来る前に福岡で一緒に自主トレをさせてもらってた川崎宗則さんです。不調に陥って、真っ先に「やばいです」と連絡したら、救いの手を差し伸べてくれました。

 こちらに来てずっと抱えていた打撃問題、それは自分では仕留めたと思ったのに、実際にはズレていて、捉えたはずが捉えきれていないことでした。それで「スイング軌道が良くないんですかね?」と宗さんに動画を送ったんです。すぐに返ってきたアドバイスが僕を変えました。

 「スイング軌道は問題ない。いい感じだから、バットヘッドを揺らして構えたらいい」

 今まではバットを止めて構えたところから振りにいく感じだったので、握っている手に常に力が入っていました。揺らすことで手の力を抜き、リラックス出来る。力を抜いた状態で、インパクトの瞬間に握る手に自然と力が入る、そうしたらヘッドが走るはず。反応が良くなるから引きつけてからでも(ボールにコンタクトするのが)間に合う、というわけです。

 この助言を受けて、練習でずっと意識して体に染みこませるようにしました。それが、シーズン終盤、いい感じになってきて結果にも結びついたと思います。

ウィーンでのシーズンを終えた広畑塁
ウィーンでのシーズンを終えた広畑塁

 日本でのプレー経験もある僕が、ウィーンでのシーズンを終えて感じたのは、やはり試合数の差です。こっちはシーズンがすごく短いです。日本では100試合以上あったのに対して、こちらでは4か月で30試合あるかないか。3連戦もめったにありません。平日が練習で、週末に試合。社会人野球や独立リーグに似たような感じですよね。

 試合数が少ないことで、取り組んできたことを試合でやってみて仮にうまくいかなかった時、練習で調整出来る時間があります。日本だと連戦になるので、試合の中で修正していかないといけないですよね。逆に言えば実戦で試せる機会が多いんですが。こっちは入念に取り組める時間があって不調でも切り替えられる時間が十分ある。どちらがいいか、とはハッキリ決められませんが。

 ただ、このスケジュールでのシーズンのお陰で、成長した部分もあると思います。日本にいた時はミスしちゃいけない、結果を出さなきゃと自分自身を追い込んでいた気がします。でもこちらでは、ミスしてもしっかり次の試合までに修正する時間があるので、失敗を恐れず、練習でやってみたことをどんどん試す心の余裕みたいなものが持てました。

 具体的に収穫を得たのは僕が憧れる座ったままのスローイングですね。試合で何度か試してやってみました。磨けば試合で絶対使える、僕の武器にはなるのかなと、今は手応えを感じています。

 僕を受け入れてくれたウィーンのチームの、坂梨広幸監督兼選手には感謝しています。カップ戦では外国人枠が関係なかったこともあり、監督ともバッテリーを組んで試合に出場することが出来ましたし、いい思い出ができました。日々、練習に付き添ってもらったり助言をいただいたり、感謝は尽きません。

チームメイトとともに移動の時の一コマ
チームメイトとともに移動の時の一コマ

 ウィーンでの日々…会話も徐々になれて、コミュニケーションや環境面で慣れてきてからは、あっという間に時間が過ぎています。会話は基本、英語。ドイツ語は「ありがとう」「調子どう?」ぐらい言えますが、まだまだです。日記に日本語の分を書いて英語に変換するという地道な作業は、ウィーンに来てからずっと続けています。

 現在も、チームの練習に参加しています。この先どうなるかまだはっきりはわかりませんが、野球を続けていきたいと思っています。

 ◆広畑塁(ひろはた・るい) 1995年6月17日、福岡県生まれ。26歳。東海大五(現・東海大福岡)高で甲子園出場はなし。立正大に進学し、2017年育成ドラフト5位で巨人に入団。20年オフに戦力外通告を受けた。ウィーン・ワンダラーズでは川崎宗則を慕って背番号は「52」をつける。二塁送球1・8秒の強肩と50メートル6秒2の俊足。177センチ、72キロ。右投左打。

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