雪組新トップ、貪欲に見つける「彩風咲奈の男役」

宝塚大劇場ロビーで爽やかな笑顔を見せる雪組新トップスター・彩風咲奈
宝塚大劇場ロビーで爽やかな笑顔を見せる雪組新トップスター・彩風咲奈

 宝塚歌劇雪組の新トップスター・彩風咲奈(あやかぜ・さきな)が、兵庫・宝塚大劇場でのお披露目公演「『CITY HUNTER』―盗まれたXYZ―」「Fire Fever!」で絶好のスタートを切った。雪組一筋15年のニューリーダーは「幸せな立場になったからには、退団する日まで『彩風咲奈の男役』をどう残していくかが勝負」と、重責をエネルギーに変えて王道をまい進していく。(筒井政也)

 音月桂(2010年9月就任~12年12月退団)以来、4代ぶりの雪組生え抜きトップ誕生だ。6月の全国ツアーで初めて大きな羽根を背に歩いた。前任の望海風斗(のぞみ・ふうと)から「その感動は忘れられないからね」と教えられた通りで「重いとかではなく、幸せだなって」。本拠地でも、真っすぐ育った雄姿を見せ、ファンを感激させている。

 一方、本格始動作は“変化球”勝負だ。人気漫画の初舞台化「CITY―」で演じる冴羽リョウ役。演出家・齋藤吉正氏は「クラシカルでノーブル(高貴)。宝塚スターになるために生まれたような雰囲気が彩風の最大の武器ですが、今回、それをいい意味で裏切る。さらに進化した彩風をご覧いただけるのでは」と胸を張る。

 リョウは新宿に巣くう悪の陰謀を銃で裁く敏腕スイーパー(始末屋)だが、とにかく女性にだらしない。劇中でもヒップタッチやハグなど、原作を忠実に再現する。「7割ぐらいはおふざけですが、締めるところは締めてカッコいい。枠にとらわれ過ぎず、自由にぶつかりたい」。清く正しい宝塚ではNGワードの「もっ〇り」に代えた「ハッスル」を続けている。

 雪組では2代前のトップ・早霧せいな主演で「ルパン三世」「るろうに剣心」を上演しており「あの経験から勇気をいただいています」。組の歴史が力になる。ショーの「Fire―」も「新たな雪組の誕生をお祝いしてくださっているような構成。プロローグからエネルギッシュ」と笑顔。ダンサーとしての華やかさも発揮され、遅咲きの12年目で新トップ娘役に就いた朝月希和(あさづき・きわ)とのデュエットも新鮮に映る。

 朝月は花組から雪―花―雪と2往復した。彩風は「希和ちゃんが最初に雪組に来た時、娘役としてきちんと学んできた子だなと感動したのを覚えています。割と無口で、完璧なイメージもありましたが、普段は意外と抜けたところがあったり(笑い)。とても人間らしい」とコンビ結成を喜び、「彼女が作るものを信頼しているので、切磋琢磨(せっさたくま)していきたい。私のそばで…というより、一人でも輝いている娘役さんになってほしい」と期待を寄せる。

 自分に対するビジョンも明確になりつつある。「冴羽リョウのようなキャラクターも演じながら、諸先輩方が残してこられた『正統派の男役』の部分を紡いでいけるように」と、揺るがない軸に磨きをかけるつもりだ。15年間で5人のトップの背を見つめ「今の私には、あの方には到底かなわない、と感じることはたくさんある」と理想との間でもがきながらも「私が迷って進むことをやめては絶対ダメ。失敗を恐れず貪欲に挑戦を」と発奮。「CITY―」の代名詞的ナンバー「Get Wild」の精神だ。

 リーダーとしての力量も問われる。「雪組のいいところは、下級生からも『こうした方がいいのではないでしょうか』と意見交換できる環境。勇気が必要だったり、困ったりしている時は、私が上級生の言葉で救われたように、声をかけてあげたいな」。“雪組の申し子”の使命でもある。

 ◆彩風咲奈(あやかぜ・さきな)2月13日生まれ。愛媛県大洲市出身。2007年に首席入団し、「さくら/シークレット・ハンター」で初舞台。第93期生。雪組配属。新人公演主演は劇団最多タイの5度。14年「パルムの僧院」でバウホール単独初主演。17年「CAPTAIN NEMO」で外部劇場初主演。21年4月、雪組トップスターに。来年1月10~22日に東京国際フォーラム・ホールCで「ODYSSEY(オデッセイ)―The Age of Discovery―」に出演。身長173センチ。愛称「さき」。

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