芥川・直木賞贈呈式 澤田瞳子さん「これまでいただいて来た『N賞』たちにご恩返しができる」

スポーツ報知
芥川・直木賞の贈呈式で登壇した澤田瞳子さん

 第165回芥川・直木賞の贈呈式が27日、都内で行われた。芥川賞を受賞した「貝に続く場所にて」(群像6月号)の石沢麻依さん、「彼岸花が咲く島」(文學界3月号)の李琴峰さん、直木賞を受賞した「テスカトリポカ」(KADOKAWA)の佐藤究さん、「星落ちて、なお」(文藝春秋)の澤田瞳子さんにそれぞれ、正賞の時計と副賞の賞金100万円が贈呈された。

 5度目の候補で受賞となった澤田さんは、直木賞が業界内で「N賞」と呼ばれていることに触れ、これまで「中山義秀文学賞」「新田次郎文学賞」を受賞していることから、「編集者の方々が『今年のNが』というお話をなさる度に、私は心の中で『私は私のN賞があるもんね』と思っておりました」と明かした。

 今回、本来の「N賞」こと、直木賞を受賞したことについては、「ビンゴゲームの真ん中が空いたような。一列そろったという安堵(あんど)感を持ちますとともに、これまでいただきました『N賞』たちにようやくご恩返しができるような気分になっております」。今後については、「また次の作品へどうやって歩み出そうかとわくわくするばかりです」と期待した。

 佐藤さんは、受賞作に描かれているアステカ王国の滅亡から500年後は一説によると、2021年の8月26日にあたるといい、「それが直木賞をいただく贈呈式の前日になるとは夢にも思わなかった」と驚いた様子。

 執筆中は、2021年8月26日が来たら、作品の舞台である川崎へ行って「感慨にふけろう」と思っていたと明かした。しかし、「いざ当日、昨夜がやってきたらそれどころじゃない状態で、東京から川崎に出かけることもままならない状態」と緊急事態宣言下の現状について触れ、「これまであった何かが滅びない保証はなにもないんだよということを僕の中ではアステカ王国の人々にテスカトリポカという小説を通じて教えてもらった気がします」と話した。

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