子ども乗せ電動アシスト自転車の”暴走かあちゃん“に「怖い」の声…歩道でうまく共存するには?

スポーツ報知
子どもを乗せるだけでなく、夕飯材料などの買い物類満載も子供を乗せた自転車の日常だ(写真はイメージで本文とは関係ありません)

 幼稚園、保育所への送迎などで年々、子育て世帯での電動アシスト自転車の需要が高まっている。一方で、「歩道を走る子ども乗せ自転車が飛ばしすぎで怖い」という声も少なくない。改めて子どもを乗せる際に注意すべき点などを関係者に取材した。

 東京都・文京区に住む40代の男性は、自身も子どもを送迎する際などに電動アシスト自転車を使用しているが「裏に保育園があって、毎朝子供を前後に乗せた”暴走かあちゃん“もよく見かけます」と漏らす。働きながら子育てをする親はとにかく忙しい。時間に追われ、自転車を飛ばしてしまう時もあるかもしれない。しかし、本体が重く子ども2人と親の体重が加われば100キロを超す電動アシスト自転車が歩道を走ることに恐怖感を抱く声は少なくない。

 自転車は原則として車道の左側を走行するが、それが危険な場合は徐行したうえで歩道を走ることも法律上認められている。しかし、多くの場合で歩道を走らざるをえない日本の道路事情がある。自転車に優しい環境のオランダやドイツなどと違い、自転車専用道路が設置してある道路は日本中探してもほとんどない。路上駐車も多く、その車を避けて進むには道路の真ん中まで出なければならないがこれは極めて危険なため、歩道に上がらざるをえないのだ。

 自転車と歩行者が歩道で共存するにはどうしたらいいのか。行政の担当者は日本の道路事情から「非常に難しい問題です」と本音を明かす。今の道路環境で、自転車歩行者双方のマナーとの思いやりで対応していくしかなさそうだ。

 子ども乗せ電動アシスト自転車が実際に歩道を走行する場合、第一に気をつけるのは徐行。しかしこれも難しいところで、あまりゆっくり走ると重い座席と子どもを乗せていたらそれだけでフラフラする。スピードを出すと安定はするが、今度は歩行者の方が危なくなる。「よく周りを見て、安定して走れる、かつ何かあってもリカバリーがきくようなスピードで」走るしか今は手がないようだ。「本当は、重いですけど降りて押して歩いていただくのが一番安心ですけど、なかなかそうはいかないでしょうから…。周りによく注意を払って安全な走り方を」とこの担当者は話す。

 子どもを乗せた自転車の事故で救急搬送された子どもの人数は、7年間で1443人(2011年1月~17年12月までの統計)。約8割が停車中の事故で、そのうち9割以上が転倒によるけがだった。消費者庁は事故増加を受け、今年1月に事故防止のためのリーフレットを作成。「まずヘルメットをかぶせる!→乗車させる→シートベルトをしっかり締める」「ヘルメットは、必ず、子どもを自転車に乗せる前に装着!」とヘルメットの重要性や、「前の座席でのケガは、後ろの座席の約6倍」などを強調。転倒を防ぐために「荷物は左右バランスよく」「停車する場所のわずかな傾きにも注意」「点検時にはスタンドのぐらつきなどもチェック」「自転車に子どもを乗せたら、決して目や手を離さず、いつでも支えられる体勢でいること」などを呼びかけている。

 走行中の注意としては、段差での事故が多発しているといい「段差5センチを乗り越えて走行することは転倒リスクが高いことを認識し、極力回避すべき」と警鐘を鳴らしている。

 子ども乗せ自転車が歩道を走る際には「いつでも止まれる速度」での徐行を心がけてほしい。歩行者も、徐行する自転車を温かい目で見てあげてほしい。(記者コラム)

※参考資料 消費者庁「幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故」(https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_016/

社会

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年