東京五輪の開会式が24日、国立競技場で行われた。
会場を「パラ・エアポート」空港に見立てた演出で、車いすに乗って「片翼の小さな飛行機」を堂々と表情豊かに演じきったのは、和合由依さん。演技経験はなかったものの、13歳の少女は約800人の公募オーディションで、満場一致で主人公に選ばれた。
和合さんは上肢下肢に先天性の障害を持ち、左手はうまく使うことができない。「似ていると共感しました」と、この演目に登場する片翼の飛行機と自身を重ね合わせた。練習すべてが「楽しかった」と語り、「まわりのパフォーマーの方たちを見て感動することも多くて、自分がその場にいられるってすごいことだなとワクワクしていました。そういう人たちと今回出会えたことは奇跡だと思うから、大切にしたい」と感謝も口にする。「今の自分を見て欲しい」と約半年間のトレーニング。クライマックスでは、多くの仲間に背中を押されながら特訓の成果を発揮して自力で車いすを全力でこぎ、力強く夜空へと羽ばたいていった。
オーディション合格の知らせを聞いたときは、「ぎゃーー!!と飛び跳ねて、寝ていた妹を起こしてしまいました」という。学校では生徒会の役員を務めるなど、好奇心旺盛で、何事にもチャレンジする姿勢を大事にしている。総合演出を手がけたウォーリー木下氏も「笑顔が素敵で、表現に貪欲な子。彼女にきっと日本中、世界中が魅了される」と期待を寄せていたが、見事に大役を務め上げた。