【甲子園】二松学舎・秋山正雲、“大江超え”の完封…「エースとして自覚ある」4安打9K

スポーツ報知
力投する二松学舎大付先発の秋山正雲(カメラ・二川 雅年)

◆第103回全国高校野球選手権大会第7日 ▽2回戦 二松学舎大付2―0西日本短大付(20日・甲子園)

 二松学舎大付(東東京)は“大江2世”の146キロ左腕・秋山正雲(せいうん、3年)が本家超えを果たした。西日本短大付(福岡)を4安打9奪三振に抑え、先輩が果たせなかった聖地での完封をマーク。今秋ドラフト候補の片りんを見せ、3回戦に進んだ。

 一番の武器を信じ、秋山は力の限り左腕を振った。0―0の6回1死満塁、この日最大のピンチ。選んだのは、全球直球勝負だった。「真っすぐには、一番自信を持っています」。窮地でギアを上げ、主に130キロ台後半だった球速は、140キロ超えを連発。打者2人を連続空振り三振に打ち取ると、大きな雄たけびを上げ、左拳を強く握りしめた。

 熱さの中に、冷静さを兼ね備えた男だ。試合前から降り注ぐ雨に、マウンドはぬかるみ気味。序盤はいつも通り一塁側のプレートを踏んでいたが、足場が緩く、滑りやすさを感じていたところで、3回からは「三塁側を使いました」。練習試合でも同様の場面を想定して準備をしていたため、落ち着いて対応。西日本短大付打線をわずか4安打に封じ込め、9三振を奪った。

 普段は、ごく普通の高校生。浅野雄志が「明るくて、たまにふざけたりもする」と言えば、関遼輔主将も「変顔したり、暴れ回ったりしている」と証言する。マウンドでの人が変わったかのような投球のゆえんについて、秋山は「エース番号を背負わせていただいている。自分が崩れてしまってはいけない」。強い責任感が、己を奮い立たせる原動力となっている。

 甲子園での完封勝利は、憧れの存在であるOBの巨人・大江も成し得なかった快挙だ。同校の夏の最高成績に並ぶ3回戦進出。次の京都国際戦に勝てば、歴史を塗り替えられる。初戦で同じく完封勝利を挙げた2年生・森下瑠大との左腕対決が予想されるが「エースとしての自覚がある。負けないようにしたい」。背番号1が、チームを初となる全国の頂へと押し上げる。(北川 栞)

 

 ◆巨人・大江の甲子園VTR 14年夏は1年生ながらエース格として活躍。初戦(2回戦)の長崎・海星戦は5回途中から無失点救援でチームに32年ぶり甲子園勝利をもたらした(3回戦で沖縄尚学にサヨナラ負け)。2年生エースとして出場した15年春は1回戦の松山東戦で16Kの力投も5失点完投負け。

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