【箱根への道】順大・服部壮馬、壮大な野望「三浦龍司さんとパリ出場」目指す

スポーツ報知
長野・菅平高原で走り込む順大のルーキー・服部(カメラ・竹内達朗)

 8日に閉幕した東京五輪の陸上で、順大の三浦龍司(2年)が男子3000メートル障害で日本勢初の7位入賞を果たし、注目を浴びた。京都・洛南高、順大を通じて三浦の後輩でもある服部壮馬(1年)は、2024年パリ五輪では先輩とともに順大の“お家芸”の同種目で出場を目指す。服部が、3000メートル障害の醍醐(だいご)味、先輩・三浦の強さの秘密、駅伝の目標などを明かした。

 服部壮馬。一見、その名前で、東京五輪マラソン代表の服部勇馬(27)=トヨタ自動車=、日本屈指のスピードランナー服部弾馬(26)=トーエネック=の服部兄弟の末弟と間違えられやすいが、実は3000メートル障害日本記録保持者の三浦龍司の“弟分”で、同じ種目の実力派ランナーだ。

 三浦が東京五輪3000メートル決勝に挑んだ2日、服部は、夏合宿を行っていた長野・菅平高原の宿舎大広間のテレビ前でチームメートとともに応援。同種目で日本勢初となる7位入賞を見届けた服部は、「三浦さんは五輪の決勝でも、いつものように序盤で先頭を走った。『常に前へ』という姿勢は洛南高の時と全く同じ」と感慨深い表情だった。

 服部は洛南高、順大を通じて三浦の1学年後輩。高校では2年間、そして、現在も同じ選手寮で、文字通り“同じ釜の飯を食う”仲だ。「三浦さんはオンとオフの切り替えがしっかりしている。練習では集中し、練習が終わると、ゆったりとしている感じ。あんなに強いのに威張ることは全くありません」と服部は三浦の素顔を明かす。

 三浦を追うように高校、大学に進んだ服部は、3000メートル障害でも、その背中を追いかけている。

 1500メートルと5000メートルに出場した三浦が不在だった5月の関東学生対校選手権ではスタートから果敢に飛び出し、一時は後続に50メートル以上の大差をつけた。残り250メートルで早大の菖蒲敦司(2年)に逆転され、2位となったが、新人の大胆な走りは見事だった。

 6月にはさらなる進化を遂げた。日本選手権と同時開催されたU20(20歳以下)日本選手権では終始、トップを譲らずに勝ち切った。8分39秒19の優勝タイムはU20日本歴代3位の好記録だった。

 「三浦さんとはまだ30秒も差がありますが、少しでも近づきたい。3年後のパリ五輪には三浦さんと一緒に出場できるように頑張ります」。服部は、大学4年時に迎えるパリ五輪に向けて強い思いを明かした。

 学生長距離ランナーであれば誰でも5000メートルや1万メートルのレースに出場するが、3000メートル障害を志す選手は少ない。「確かにきついですけど、楽しい。特に水濠(すいごう)のある大障害は面白い。スピードを上げて飛び越えていきます」と目を輝かせた。その上で「三浦さんの一番のすごさは、その障害の前の加速力だと思います」と話す。

 他の長距離種目に比べ、障害との接触、着地の失敗など故障のリスクは高い。それでも、服部は「怖さはない。怖さを持ったら3000メートル障害は走れません」と迷いはない。

 三浦は3000メートル障害を専門種目としながら、昨年10月、箱根駅伝予選会のハーフマラソン(21・0975キロ)で東京五輪マラソン代表の大迫傑(30)=ナイキ=が持っていたU20日本記録を更新する1時間1分41秒で日本人トップの5位と好走した。全日本大学駅伝1区で区間新記録の区間賞。箱根駅伝でも1区10位の結果を残した。

 服部も同種目に軸足を置きながらロードシーズンでは駅伝に臨む。夏合宿ではAチームで精力的に長い距離に取り組んでいる。「箱根駅伝は山下りの6区を走ってみたい。上りも苦手ではありません」と意欲を示す。昨年12月の全国高校駅伝では下り基調の4区で4位と好走し、日本高校最高記録(留学生を含まない記録)の2時間2分7秒で3位に貢献するなどロードも得意としている。

 インパクトのある名前については、屈託ない笑顔で話す。「服部勇馬さん、弾馬さんの弟でしょ、と聞かれることは多いですけど、違います。お二人とは会ったことがない。会ったら、ぜひ話してみたいです」

 壮馬の名は「壮大に駆け巡るように」という意味が込められているという。その名の通り、服部は3000メートル障害でも駅伝でも、壮大、壮快に走るつもりだ。(竹内達朗)

 ◇三浦龍司の東京五輪 

 7月30日に行われた男子3000メートル障害予選第1組で、自身の持つ日本記録を6秒07更新する8分9秒92の日本新記録で組2位、全体でも2位で決勝に進出した。五輪の同種目で日本勢が決勝に進出するのは1972年ミュンヘン五輪9位の小山隆治以来、49年ぶり。8月2日の決勝でも序盤に先頭に立つ積極的なレースを展開。日本勢初入賞となる7位と健闘した。決勝のタイムは8分16秒90。スフィアヌ・バカリ(モロッコ)が8分8秒90で金メダルを獲得した。

◇順大と3000メートル障害 

 現役学生とOBが活躍しており“お家芸”と言える種目。小山隆治は71年に卒業し、72年ミュンヘン五輪9位。74年に当時の日本記録8分21秒6をマークし、それは今も日本歴代6位として残る。02年卒の岩水嘉孝は03年に8分18秒93の日本記録を樹立。今年5月に三浦龍司が自身初の日本記録となる8分17秒46をマークするまで18年、破られなかった。三浦はその後2回、日本記録を更新した。90年卒の仲村明は91、93年の世界陸上に出場。19年卒の塩尻和也は2年時に16年リオ五輪出場。

◇3000メートル障害 

 通称「サンショー」。1周の間に障害物が5回。そのうち一つは障害物の先に水濠がある大障害。3000メートルを走る間に計35回の障害を飛越する。

 障害物の高さは男子が91.4センチ、女子が76.2センチ。足をひっかけると倒れる短距離のハードルと異なり、障害物は体操の平均台のように重く、足をひっかけても倒れることはない。

 大障害の水濠は男女とも長さが3.66メートル。深さは障害物の手前の最深部が70センチで水際に向かって徐々に浅くなる。競技場によってトラック外側に水濠が設置された「外水壕」と、トラック内側に水濠が設置された「内水壕」がある。1周の距離は外水濠が421メートル、内水壕が390メートル。記録は外水濠も内水濠も同等に扱われるが、曲線路で大障害を越える外水濠に比べ、直線路で大障害を越える内水濠の方が走りやすいため、好記録が出やすいとされる。また、内水濠はスタートから約250メートルを障害なしで走るため、序盤にタイムを稼ぐこともできる。旧国立競技場は外水濠だったが、現在の国立競技場は内水濠。

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