【オリックス】メジャー級美技必見! 「開き直り」と「覚悟」で開花した宗佑磨

スポーツ報知
オリックス・宗佑磨

 軽快なフットワークと鮮やかなグラブさばき、時にノーステップで鋭く送球する強肩。長年、チームの課題のひとつだった三塁に今季定着した宗佑磨外野手(25)のプレーぶりは、担当記者のお世辞でも何でもなくスケールの大きさを感じさせる。高い身体能力あふれるパフォーマンスには、他球団の担当記者から漏れる感嘆の声を何度も聞いた。遅れてきた高卒7年目が、ゴールデングラブ賞の圏内に十分いる。

 「最初の頃よりは試合の入り方の部分では、慣れて入りやすくなってるとは思います。技術的な自信があるわけではないけど、試合に入ればエラーしてもいいというくらいの気持ちで積極的にいってます。ギャンブル的なところはあるけど、積極的かつ堅実に。そう心がけています」。謙虚に語るが、打撃でも定着した2番で打率2割5分8厘、5本塁打、24打点、5盗塁で、46得点は吉田正(50得点)に次ぐチーム2位(数字は17日現在)。数字以上の役割を果たしている印象だ。2014年に横浜隼人高からドラフト2位で入団した期待の星が、開花の時を迎えている。

 プロ4年目だった2018年の74試合が自己最多出場数で、昨季までは通算213試合で打率2割3分6厘、8本塁打、45打点、15盗塁。能力を発揮しきれずくすぶっていたが、今季はすでに87試合出場で自己最多を更新中だ。順風満帆で来たわけじゃない。振り返る道のりは険しいものだった。

 「最初に1回、ショートをクビになってるので。だから、最初にサードでと言われた時は自信がなかったんです」。入団当初は遊撃を任されたが、結果を出せなかった。くしくも、外野手に転向した18年から徐々に出場機会が増加。内野手再転向を提案されたのは、そんな時だったから悩んだのは無理もない。適性を見抜いた“恩師”こそ、19年に2軍監督に就任した中嶋聡現1軍監督。「出場機会が増えるなら、やってみようかというところから入ったくらいです」

 ある意味、「開き直り」に近かった。遊撃時代の反省を生かした発想の逆転、そして外野手を経験したことも奏功した。「振り返ればショートの時は、型にはまりすぎていたと思うんです。こうやって(打球を)取らないといけないとか。それに途中から外野手を主にやってたので、別に内野手じゃないんだからいいや、くらいの気持ちで。自由な発想になれたのが大きいですね」。メジャーのプレーを動画で見るのが好きで、ゴールド・グラブ賞を2回、プラチナ・ゴールド・グラブも受賞したマニー・マチャドらに憧れを抱き「そっちの方が自分には合ってるのかなと思いました」。自己分析のもと、形にとらわれないメジャーの大胆なプレースタイルを研究、実践し、練習を重ねて自らに落とし込んできた。

 まだ25歳とはいえ、本人の思いは違う。今春の宮崎キャンプは下半身のコンディション不良で、大阪・舞洲に残留するリハビリ組で始動。最後まで“本隊”に合流できなかった。ただ、それが逆に自らに火を付けるきっかけとなった。「今年はずっと2軍かなとか、考えたりもしてました。でも紅林とか太田が出てきて、ちゃんとやんなきゃクビになると。若い選手が、どんどん入ってきて、同じ成績なら若い選手を使うでしょう。若手と言われるけど、もう7年目。クビになる選手も見てきたし、先の短い世界。覚悟が足りなかったと思いました」

 自らの力で「居場所」を築き上げ、首位を走るチームの一員として躍動している。「いまは勝つ喜びを特に感じられています。経験のない立ち位置で戦いながら、その中で挙げる1勝は、今までと全然違いますね。楽しいです」。苦しんだ過去がウソのように、充実した表情で笑みをこぼす。もちろん、ここからが本当の勝負だと分かっている。そして、やってくれるはずだ。「いまは後悔のないようにやれています」。逆境からはい上がった男が、ただ前だけを見て、頂点へと突き進む。

(記者コラム=オリックス担当・宮崎尚行)

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