【高校野球】東海大静岡翔洋の躍進を支えた“原流指導”とは

スポーツ報知
今夏静岡大会準優勝に導いた東海大静岡翔洋・原前監督

 捕手らしい視点だな、と思った。今夏、取材で東海大静岡翔洋を訪れた時のこと。元巨人ドラフト1位捕手の原俊介監督(43)=9月1日から東海大相模監督就任予定=にチームに関する話を一通り聞き、雑談に入ったタイミングだった。

 静岡県内の球場設備について話していたところ、原監督は「スピードガンが一番いらない。あれがあると困る」と漏らした。なぜですか? 視線で問いかけた私に、指揮官はこう言った。「(球速を)見るとどうしても力む。スピードガンコンテストをやってる訳じゃないからね。やらなきゃいけないのは『投球』。ちゃんと『投球』すれば130キロでもゲームは作れるから」。

 速い球を投げたい、との欲求はほとんどの投手が持っている。同時に、ただガムシャラに「エイヤー」と放ってもストライクゾーンを通過しなければ単なるボール球に過ぎないことも分かっているはずだ。それでも時に制球より球速を求めてしまう。自分が高校生なら139キロと表示されれば、何とかして140に乗せたいと思う。その欲から一歩離れ、コーナーを突いて打者と駆け引きできるか。心の持ちようが、勝てる投手とそうでない投手の差ではないかと私も思う。

 翔洋は今春県大会2回戦で敗退した。エースの鈴木豪太投手(3年)は大会後、原監督から「力任せにいかず、打者の反応を見る」ことを口酸っぱく言われたという。アドバイスが効いたようで、夏は1回戦から全試合に登板し、52回1/3で6失点。スライダー、シュートを巧みに使い、かわしたり、すかしたり…。 春とは違い力一辺倒でない投球術が、夏の静岡大会準優勝につながった。

 原監督はプロ野球引退後、実は「トレーナーになりたかった」という。現役のオフ期間、米・フロリダ州にあるIMGアカデミーに通ったことがある。錦織圭らトップアスリートを輩出した世界屈指のトレーニング施設で毎日2時間半、体の使い方の基礎から勉強した。「日本でやったことがないメニューで新鮮。体が変わればパフォーマンスが伸びることを学んだ」。引退後は資格取得のために早大に進学。その後、翔洋から誘いを受けて教員の道に進むことを決めた。

 「子供たちと一緒に夢を追いかけられるのが先生。恵まれてると思いますよ。今でも気持ちは18才です」と笑う。ちなみに、こわもてでグラウンドでは厳しい指揮官も、教室では一変するとか。石上賢真主将(3年)は「学校では優しいし、体育の授業も丁寧に教えてくれます。女子にも人気があっていつも囲まれてますよ」と意外な?一面を教えてくれた。

 静岡では17年春に県大会を制覇。今後は母校を率い、強豪ぞろいの神奈川でも一旗揚げてくれると信じている。(武藤 瑞基)

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