◆JERAセ・リーグ ヤクルト13―3巨人(17日・松山)
巨人がミスで自滅した。同点の6回に山田の勝ち越しソロを含む6安打を許し、2失策と乱れて1イニング9失点。ヤクルト戦は3試合連続2ケタ失点で計38失点と、“燕アレルギー”を露呈した。丸と岡本和のアベック弾も空砲となり、6戦全勝だった不敗神話も崩壊。首位・阪神が勝って2ゲーム差に開き、3位・ヤクルトには0・5差に迫られた。
大敗の中に、改めて大事にしなければいけないことを教わった。原監督は事実を冷静に受け止め、口を開いた。「紙一重の勝負の中で、野球っていうのは非常に難しいスポーツだな、というのは思うね。ああいうゲーム展開になるわけだからね」。連勝は3で止まり、後半戦初黒星を喫した。
両チームの分岐点となったのは6回だった。2点を追う中、坂本が左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、続く丸が左中間へ13号2ランを放り込む。試合を振り出しに戻し、ヤクルト先発・高橋をKOした。さらに代わった今野を攻め、2死一、二塁から、吉川の鋭い打球を元山が後逸。二塁走者・ウィーラーが一挙に本塁を狙うが、三塁を回ったところで足を滑らせかけたことも影響して、本塁タッチアウトとなった。
やや不穏な空気となる中で、流れとはかくも不思議で残酷なものか。その裏、3番手・今村が先頭・山田に左越えソロを浴びてすぐに勝ち越しを許す。そこから鍵谷ら4投手をつぎ込むも、4安打、2四球に坂本、岡本和の失策も絡み、打者13人の猛攻を許して今季ワーストタイとなる1イニング9失点。試合は決した。
原監督が後半戦の指針として掲げた「ワッショイベースボール」は、全員の力と息を合わせ、結束を強めるためのもの。その意味ではミスは誰の、ではなくチーム全体のものであり、全員で防ぎ、全員で補わなければいけない。それは、指揮官も「もちろん」という言葉を5度連呼して強調した。相手はミスをカバーし、こちらはカバーできなかった。
その上で早急に手を打つべきは、燕アレルギーだ。ヤクルト戦は前半戦最終カードとなった7月13日から3戦連続2桁失点の計38失点となった。その間、5番・オスナに14打数9安打、2本塁打、9打点と大暴れを許す。この助っ人を止めなければいけない。
6年ぶりとなった坊っちゃんスタジアムでの一戦。湿気を含んだ土のグラウンド環境など次戦に持ち越せる情報も得た。「こういうことはそうそうあってほしくはないけど、これもベースボールだしね。明日につなげることが重要」と原監督。首位・阪神とは2差に広がり、3位・ヤクルトが0・5差に迫る。切り替えて、やり返す。それも野球の鉄則だ。(西村 茂展)