再就職後も輝く引退競走馬 流鏑馬で祭を盛り上げた金沢の名馬ハヤテサカエオー

スポーツ報知
加茂神社の「やんさんま祭り」の様子

 華やかに競馬場を駆け抜けるサラブレッドだが、輝きを放つ時間は決して長くない。それだけに、現役を終えた後も幸せな余生を送ってほしいと思わずにはいられないが、富山県で唯一、流鏑馬(やぶさめ)が行われる射水市の加茂神社には、引退後10年間も神事で活躍した重賞優勝馬がいた。

 その名はハヤテサカエオー(牡、父アレミロード、母ダイナブラツサム)。1992年に金沢競馬でデビューし、99年の引退まで68戦27勝。96年には白山大賞典(当時はダート2600メートル)を制覇し、同年の東京大賞典にも出走した(11着、勝ち馬はキョウトシチー)。金沢の名馬として愛され、引退時には地元で大きなニュースになったという。

 華麗なる転身は引退後すぐ。「加茂神社の流鏑馬祭馬として、ハヤテサカエオーに第二の馬生を送らせたい」という馬主の畑中政雄さんの願いがかない、セカンドキャリアがスタートした。現役時には約500キロあった堂々としたボディー、美しい走りで観衆を魅了。2000年から10年にわたり、無病息災、天下泰平、五穀成就を祈願する加茂祭(毎年5月4日に開催)の主役を務めた。

 多い年には5000人の観衆が見守った流鏑馬は、地元のなまり言葉で「やんさんま祭り」として親しまれ、1000年近い歴史を誇る。加茂神社の宮司・野上克裕さんは「走路が直線だけでないことや、1丈2尺(約3・6メートル)の大弓を使っていることなどで、すごく盛り上がります。観衆の声援、どよめきが境内に響き、大きな拍手も沸き起こります」と、熱気を思い起こす。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止ため、内容を省略して神社関係者のみで執り行われる形に。スポーツのみならず、祭事までも無観客となり、寂しいものとなった。

 ハヤテサカエオーが沸かせた「やんさんま祭り」が、通常通りに行える世の中に早く戻ってほしい。宮司の野上さんは「一日も早くコロナが収束することを願います。加茂祭、流鏑馬をはじめとする多くの神事を、古式にのっとり執り行いたいと思っています」。皆がマスクを外して歓声を挙げ、祭事を心から楽しめる日が一日でも早く来ることを願っている。(中央競馬担当・内尾 篤嗣)

 ◆加茂神社(かもじんじゃ) 平安時代(1066年)に京都の賀茂御祖神社(下鴨神社)の神領「倉垣庄」となり、今なお貴重な文化、神事をそのまま伝承している。境内には大きな馬の像があり、加茂祭の神事の一つである神馬式(しんめしき)にちなんで寄進された。富山県射水市加茂中部630。

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