検証・東京2020(4)「継承」…男子団体銀メダルの裏に受け継がれた体操ニッポン歴代レジェンド達の教え

スポーツ報知
鉄棒の演技を終えた橋本大輝を迎える日本の選手

 コロナ禍で1年延期した東京五輪が閉幕。スポーツ報知では、記者コラムでテーマ別に検証する。第4回は「継承」。

 体操ニッポンは新時代を迎えた。男子は萱和磨、谷川航(ともにセントラルスポーツ)、橋本大輝(順大)、北園丈琉(徳洲会)の初出場4人で団体銀メダル、橋本が五輪史上最年少19歳(現20歳)で個人総合を制覇した。日本体操界に競技別最多となる通算100個目のメダルをもたらし、種目別鉄棒でも金メダル。2冠を果たした。そして萱が種目別あん馬で銅メダル。今大会で男子はメダル4個を手にし、体操王国の力を世界に示した。

 2018、19年世界選手権はロシア、中国に大差をつけられ、団体3位が定位置。本番も不安視されていたが、全員初五輪にもかかわらず好成績を残せたのは、レジェンドたちの経験からなる教えが継承されたからだ。

 萱、谷川は順大時代、橋本は現在、00年シドニー五輪代表の原田睦巳氏、そして04年アテネ五輪団体金メダルの冨田洋之氏の指導を受け、世界トップクラスへと成長を遂げた。萱、谷川、橋本は冨田氏の五輪を見て育ち「ヒーロー」的存在から直接、学ぶ。橋本は「冨田先生に指導されていますし、良い環境が自分についている」と感謝する。

 東京五輪の団体決勝では、谷川が跳馬で最高難度の「リ・セグァン2」を着地までピタリと止め、圧巻の15・233点。最後の鉄棒では橋本が着地まで成功。金まで0・103点に迫った。アテネ五輪団体決勝の鉄棒で着地を完璧に止めた冨田氏を彷彿(ほうふつ)とさせるシーンだった。この勝負強さこそが、日本の伝統として受け継がれた。

 02年生まれの北園は、金2個を含む5つの五輪メダルを獲得した具志堅幸司氏や、1988年ソウル大会に高校生で出場した西川大輔、池谷幸雄ら14人のオリンピアンを輩出した超名門・清風高で成長。体育館には歴代出場選手の写真が飾られており、北園は15人目として並ぶ。同校伝統のモットーは「核心に触れるまで努力する」。4月の全日本選手権での両肘負傷から復活し、五輪代表に入った北園の精神的強さこそ、清風高で養われたものだ。

 そして、このチームに欠かせなかったのが内村。3個の五輪金メダルを獲得してきたキングは今回、個人種目で4大会連続出場。強化合宿の中で団体チームに技術的なアドバイスはもちろん、五輪への挑み方、心構えも教え込んだ。内村は4人を見て、「世界の体操界を引っ張っていける」と確信。絶対王者の言葉は、何よりもメンバーに勇気と自信を与えただろう。

 04年アテネ五輪団体金の水鳥寿思強化本部長も、内村について「彼の引っ張りは本当に大きく、彼らにとっても奇跡のような時間だった」と振り返る。見事な世代交代を東京五輪で印象づけ、24年パリ五輪にも期待が持てる頼もしい体操ニッポンへと復活した。(小林 玲花)

◆体操日本とメダル

 1952年ヘルシンキ大会で種目別跳馬で竹本正男が銀メダルなど4つを獲得。56年メルボルンで団体総合銀、小野喬が鉄棒で金メダルを獲得すると、60年ローマ大会からは団体総合5連覇を達成するなど黄金時代を迎える。84年ロサンゼルスで具志堅幸司が個人総合で金メダルなどを獲得したのを最後に成績は下降気味となり、96年、2000年はメダルゼロ。だが04年に冨田洋之らで団体金を獲得すると、内村航平らが登場し、再び黄金時代に。五輪では競技最多の103個(男子101で金33個、女子2)を獲得している。

 ◆小林 玲花(こばやし・れいか) 2016年入社。東京五輪ではバスケットボール、体操、スポーツクライミングなどを担当。バスケ経験者として、「女子の銀メダルに感動をいただきました」。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請