検証・東京2020(3)「バブル方式」に穴、選手村から「出ようと思ったら出られる」

スポーツ報知
東京五輪・選手村の入り口で警備にあたった人たち

 コロナ禍で1年延期した東京五輪が閉幕。スポーツ報知では、記者コラムでテーマ別に検証する。第3回は「バブル方式」。

 大会を「安全」に運営し、国民の「安心」につなげる最大のカギとなっていたのが「バブル方式」だ。選手ら関係者と国民の接触を絶つため採用された。閉会式当日、8日の会見で東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は、「いくつか選手村から不用意に外出した人は把握している。その人たちについてはプレーブック違反なので、NOC(国内オリンピック委員会)のCLO(コロナ対策責任者)と連携しながら対処してきた。全体を見ると、バブルは維持された」と総括した。

 この「おおむねバブルは機能した」という評価を、どれほどの国民が支持するだろうか。7月31日、ジョージアの男子柔道銀メダリスト2人が、観光目的で選手村から外出したとして参加資格証を剥(はく)奪された。最も行動制限が厳しいはずの選手村からの“脱出”。今月2日、組織委は一つの手段として、「中にはNOCの車両で、登録されている箇所であれば移動は可能。NOCハウスなどへの外出を装い、出ようと思ったら出られる」と認めた。

 実際に現場に出向くと、選手村入り口から100メートルほどの場所に「NOC Parking」が確認できた。当該選手らが使ったかは不明だが、少なくとも駐車場に行くと言えば外出は容易に可能だ。少し足を延ばせば一般客も利用するコンビニもある。組織委は「CLOがアスリートを含む関係者を管理するのが、本来の対応」と強調していたが、行動制限は“お願いベース”だったのが実情。それはあまりにもろく、結果、国民に不安を抱かせる事態を招いた。

 数字的には、閉会式までの関係者のコロナ検査数は65万件を超え、陽性率は0・02%。選手村内で懸念された集団感染も、アーティスティックスイミングのギリシャ選手団12人のうち6人の1例にとどまった。データ上は「安全」に運営されたバブル。だが、選手村内での集団飲酒騒ぎなど、数々のプレーブック違反が報告され、安心は揺らいだ。

 組織委の橋本聖子会長は、パラリンピックに向け、「全体の運営にあたり、都民、国民の皆さまに100%受け入れてもらっていないと感じる。さらにプレーブックの順守も含め、どのように対策をすることで安全安心につながるかを徹底していきたい」と語ったが、課題は浮き彫りとなった。(大谷 翔太)

◆東京五輪プレーブック違反による処分

 組織委が開幕から8月7日までに明かしたプレーブック違反による処分の数は32人。大会参加資格証(AD)の剥奪が8人、ADの一時的効力停止が8人、厳重注意や誓約書の提出が16人だった。資格剥奪はジョージアの柔道2選手の他に、選手のウォーミングアップエリアに入った関係者が2人。開幕前に麻薬取締法違反の疑いで逮捕された外国人スタッフが4人。

◆東京五輪選手村を巡る主なトラブル

 ▼7月31日 ジョージアの柔道男子66キロ級のバジャ・マルグベラシビリと、73キロ級ラシャ・シャフダトゥアシビリが、観光目的で無断外出したとしてADを剥奪された。2人は試合を終えた27日深夜に、東京タワー周辺を観光していたことが報じられていた。

 ▼8月3日 組織委は、7月31日未明に選手村内の公園であった飲酒騒ぎを巡り、関与した選手らの所属する7~8の国内オリンピック委員会に注意。選手村関係者からは警視庁月島署に「飲酒し騒いでいる選手らがいる」との通報が入り、警察官が駆けつける事態となっていた。

 ▼4日 ギリシャのアーティスティックスイミング(AS)の選手4人と関係者1人が新型コロナウイルス検査で陽性。選手村では初のクラスターに。同国はデュエットとチームの両種目の欠場を表明した。

 ◆大谷 翔太(おおたに・しょうた) 1992年4月6日、福岡・飯塚市生まれ、29歳。2018年入社。大相撲などを担当。今大会、レスリング銀メダルの文田健一郎が会見で涙ながらに語った、「この5年間を認めてあげなくちゃ。絶対に(自分を)否定しちゃダメだと」という言葉に胸アツ。

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