検証・東京2020(2)「年少メダリスト」西矢椛、重圧なんの10代スケボー女子が示した笑顔で楽しむ競技スタイル

スポーツ報知
スケートボード女子ストリート決勝、試技を終え笑顔を見せる西矢椛

 コロナ禍で1年延期した東京五輪が閉幕。スポーツ報知では、記者コラムでテーマ別に検証する。第2回は「年少メダリスト」。スケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛(もみじ、13)=ムラサキスポーツ=を、細野友司記者が「見た」。

 今大会で日本勢が手にした史上最多58個のメダルは、全てに物語がある。ひときわ歴史的なのが、西矢椛が手にした日本歴代最年少金メダルだろう。スケボーを器用に操り、手すりなどを使ったトリックを繰り出す。「皆が『お~』ってなるのが楽しいから、笑顔でやっています」と言って、ニコニコと。重圧と闘った末に…という従来の金メダルのイメージを覆し、強く印象に残った。

 驚いたのが、男子テニスで五輪4大会連続出場の錦織圭(31)=日清食品=にまで影響を与えていたことだ。西矢が優勝した翌日、試合を終えた錦織は、自ら切り出した。「どうしても、4年に一度の重さが降り注いでしまう。13歳で金メダルをとったスケボーの子はすごいな、と思いましたね。もみじちゃん。若さもあるし」。日の丸を背負う。国民の代表。そして、4年に一度―。4大大会準Vの経験者でも感じる、五輪の重圧がある。「楽しむ」。シンプルな心がけが、その解決法になりうる。西矢の金メダルは、実に示唆に富む。

 今大会では、スケボー、サーフィン、スポーツクライミング、空手の4競技が初めて実施され、日本は12個(金4、銀4、銅4)のメダルに輝いた。スケボーなどの都市型スポーツは、若年層を取り込む切り札としても期待され、16年に実施が決定。当時は「五輪競技にふさわしいのか」の声も上がった。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も「(当初は)懐疑的だった」と述べつつ、西矢をはじめ10代前半のメダリストが出たことに「異例ではあるかもしれないが、新鮮に思う。若い選手が活躍するのはうれしいこと」と言及。話題を集めた新競技を成功裏に受け止めた。

 西矢は競技中、銅メダルの中山楓奈(16)=ムラサキスポーツ=と「あらいぐまラスカル」の話で盛り上がっていたことが、SNS上で話題に。「ラスカル」の公式ツイッターが、イラストつきで祝福のメッセージを投稿する一幕もあった。競技を“入り口”に、様々な層へと認知度が浸透する。これもまた、SNS文化の発展に伴って、新たな五輪の盛り上がりの可能性を示す出来事だったと思う。

 24年パリ五輪では、ブレイクダンス(ブレイキン)の新採用が決定済みだ。1896年に近代五輪第1回のアテネ大会が開かれて125年。新たな価値観を加えながら、200周年を目指して五輪は成熟していくのだろう。(細野 友司)

◆細野 友司(ほその・ゆうじ)1988年10月25日、千葉・八千代市生まれ。32歳。早大を経て2011年入社。陸上、バドミントン、重量挙げなどを担当。今大会で印象に残ったのは男子50キロ競歩のレース途中、おう吐しながら6位入賞した川野将虎(旭化成)の精神力。

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