吉田沙保里さん特別寄稿 初めての取材にトリ肌…感動、涙まみれの五輪になった

スポーツ報知
2日、レスリング会場で取材する吉田沙保里さん

 東京五輪が17日間の熱戦を終えて閉幕した。日本勢は史上初、最年少、最多&毎日メダル…と記録づくしの大活躍。レスリング女子で3連覇を含む4大会連続メダリストの吉田沙保里さん(38)がスポーツ報知に特別寄稿し、19年1月の現役引退後、初めて応援する側で見届けた自国開催の五輪を振り返った。

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 つま先から頭のてっぺんまでトリ肌が立つ、感動で涙まみれの五輪になりました。金銀銅、ざっくざく。アニマル浜口さんの言葉を借りるなら、日本中が「宝の山」になりましたね。

 引退して初めて応援する立場で五輪を見守りました。マットの外にいるのも初めてだから「いま選手だったらどう感じるんだろう?」とドキドキして。レスリング会場に行ったら「また、やりたくなるかな?」と思いましたが、マットに上がる前の選手たちを目の前にすると、あの緊張感と重圧を思い出して、何だか胸が苦しくなりました。きっと、体に染み込んでいるんでしょうね(笑い)。

 伝える側の大変さも知りました。レスリングの女子6人全員に試合後にインタビューをした際のことでした。喜ばしい4階級制覇になりましたが、表彰台に届かなかった皆川(博恵)さん、(土性)沙羅の前に立ち、彼女たちの悔し涙を見た時、(4連覇を逃した)自分のリオ五輪を思い出しました。当時、負けて、わんわん泣いていた私に、インタビューをしてくれた方は、こんなにも大変だったんだなと思いました。

 視野が広くなって、五輪全体もよく見えました。33競技339種目で金・銀・銅のメダルがあり、1個のメダルには獲得した人の物語が詰まっていて、一つとして同じメダルはないんだなと感じました。メダルを逃した人の悔しさも含め、東京に参加した全てのアスリートたちの情熱や魂が息づいた五輪でもありました。

 今まで出身者の金メダリストがいなかった鳥取県と沖縄県に五輪王者が誕生し、47都道府県すべてに金メダルがそろったことも感慨深いですよね。日本が初めて五輪に参加した109年前の1912年ストックホルム大会からいろんな人たちがつないだ努力の表れです。2度目の東京大会で、鳥取、沖縄で残っていた2個のピースが埋まり、大きなパズルが完成したように感じました。

 五輪が閉幕し、メダリストたちは支えてくれた方々、応援してくれた方々に感謝の思いを報告すると思います。私のメダルはたくさんの人たちに触れてもらってボロボロになってます。私は引き出しにしまっておくより、皆さんに見て、触ってもらって喜びを分かち合うことがうれしいですからね。コロナが終息したら、たくさんの人たちにメダルを触れる機会が増えると思います。(レスリング女子五輪3連覇、4大会連続メダリスト)

 ◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年10月5日、津市生まれ。38歳。三重・久居高、中京女大(現至学館大)卒。04年アテネ、08年北京、12年ロンドンと五輪3連覇し、16年リオは銀。12年に国民栄誉賞。現役時代のニックネームは「霊長類最強女子」。19年1月に引退。家族は母と兄2人。

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