ラストレースで五輪6位の大迫傑が託す次世代は誰か…鈴木健吾、吉田祐也、相沢晃らがパリ代表候補か

スポーツ報知
大迫傑(ロイター)

 東京五輪男子マラソンは、世界記録(2時間1分39秒)保持者で非公認では1時間59分40秒を記録したエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間8分38秒で圧勝した。衰えを知らない36歳は前回の2016年リオ五輪に続き、金メダルを獲得した。

 アブディ・ナゲーエ(オランダ)が2時間9分58秒で銀メダル。バシル・アブディ(ベルギー)が2時間10分0秒で銅メダルを獲得した。

 今大会をラストレースと表明した大迫傑(ナイキ)が2時間10分41秒で6位だった。

 大迫は日本勢として唯一、30キロまで先頭集団に食らいつき、見せ場をつくった。キプチョゲが30・5キロでスパートすると、先頭集団が崩れ、大迫は35キロを8位で通過。その後、銀メダルと銅メダルを争う2位集団を必死に追い、40キロ地点では2位集団と18秒差の6位まで浮上。メダル獲得の可能性を抱かせる大健闘を見せた。

 金メダルのキプチョゲと2分3秒差。銅メダルのアブディ(ベルギー)とは41秒差の6位。1992年バルセロナ五輪で銀メダルを獲得した森下広一以来、29年ぶりのメダル獲得はならなかったが、2012年ロンドン五輪で6位となった中本健太郎以来、9年ぶりの入賞を果たし、有終の美を飾った。

 クールな大迫はゴール後に男泣き。「前を追ったが、縮まらず、6位で粘り切ろうと思った。次の世代は6位からメダル争いに絡めると思う」と汗と涙をタオルで覆いながら、感慨深く話した。

 さて、大迫が言葉にした「次の世代」は誰だろうか。

 マラソンという過酷な競技に取り組む全アスリートの努力に最大限の敬意を示した上で、3年後のパリ五輪男子マラソン日本代表候補を探ってみたい。

 筆頭は、今年2月のびわ湖毎日マラソンで2時間4分56秒の日本新記録で走破した鈴木健吾(富士通)だろう。現在、26歳の鈴木は、大迫が持っていた従来の日本記録(2時間5分29秒)を33秒も更新。アフリカ出身以外の選手として初めて2時間5分の壁を破った。2019年9月の東京五輪マラソン代表選考会でも7位と健闘。夏マラソンの実績もある。

 24歳の吉田祐也(GMOインターネットグループ)も能力が抜群だ。青学大4年時の2020年箱根駅伝4区で区間新記録をマーク。その1か月後の別府大分毎日マラソンで2時間8分30秒で日本人トップの3位となった。初マラソン日本歴代2位(当時)&日本学生歴代2位の好記録だった。当初、大学卒業を機に競技の第一線から退く考えだったが、翻意。競技を続行し、20年12月の福岡国際マラソンでは2時間7分05秒の自己ベストでマラソン初優勝を飾った。青学大の原晋監督曰く「青学大史上、最も練習した男」。初マラソンの別府大分のレース後、日本陸連長距離・マラソン強化戦略プロジェクトの瀬古利彦リーダーに「きょうは良かったけど、マラソンをなめちゃいけないよ」というアドバイスに対して「なめていません!」と即答した度胸と覚悟は本物だ。

 今年2月のびわ湖毎日マラソンで終盤まで、優勝した鈴木健吾と争い、2時間6分26秒の日本歴代5位の好記録をマークした土方英和(ホンダ)も有力候補だ。吉田と同学年の24歳。たっぷりと伸びしろが残されている。

 25歳の細谷恭平(黒崎播磨)は今年2月のびわ湖毎日マラソンで、ほぼ1キロ3分ペースで着実にレースを進め、2時間6分35秒の日本歴代6位で走破した。ハイペースでレースを進めた時、新たな力を示すか、注目される。

 好記録が連発した、びわ湖毎日では、作田将希(JR東日本)が2時間7分42秒の初マラソン日本最高をマーク。足羽純実(ホンダ)が2時間7分54秒で同2位、山下一貴(三菱重工)が2時間8分10秒の同3位で走破した。作田と足羽は26歳。山下は24歳。3人とも未知数の能力を秘めている。

 実績がある選手としては18年アジア大会金メダルで日本歴代8位(2時間6分47秒)の井上大仁と、同7位(2時間6分45秒)の高久龍の名が上がる。日本歴代9位(2時間6分51秒)の小椋裕介(ヤクルト)は、1時間0分0秒のハーフマラソン(21・0975キロ)日本記録を持つ。3人ともに28歳。パリ五輪の時は30歳を超えるが、円熟の走りが期待される。

 ともに25歳の下田裕太と林奎介のGMOインターネットグループ勢も注目株だ。GMOインターネットグループに移籍した1万メートルの前日本保持者の村山紘太、最近は低迷している神野大地(セルソース)は復活が待たれる。

 東京五輪の補欠だった大塚祥平(九電工)と橋本崚(GMO)。MGCで超積極的な走りを見せた元日本記録保持者の設楽悠太(ホンダ)も再度、パリ五輪代表争いに加わることを期待したい。

 東京五輪1万メートル代表で同日本記録(27分18秒75)保持者の24歳、相沢晃(旭化成)がマラソンに挑戦すれば、強力な候補に挙がることは間違いない。同代表で同歴代2位(27分25秒73)の23歳、伊藤達彦(ホンダ)も同様のことが言える。大学時代からライバルの2人がマラソンでも激烈でハイレベルなデッドヒートを繰り広げる可能性はあるだろう。

 最後に忘れてはいけないのが、今回の東京五輪代表で惨敗した中村匠吾(富士通)と服部勇馬(トヨタ自動車)だ。このまま終われないはず。東京の悔しさをバネにパリに向かうことを願う。(記者コラム・竹内 達朗)

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