◆東京五輪 トーナメント決勝 日本2-0米国(7日・横浜スタジアム)
日本の金メダルで幕を閉じた五輪野球だが、この先は厳しい現実が待ち受けている。3大会ぶりに実施された野球は、24年パリ五輪で実施種目を外れる。
コロナ禍の最近2年を除けば、プロ野球(NPB)の観客動員は右肩上がり。高校野球の人気も高い。一方で競技人口は年々減っており、将来的なレベルや人気の低下が危惧されている。
侍ジャパンの山中強化本部長は「五輪を外れては世界的なスポーツになれない」という。WBCやプレミア12の盛り上がりは、野球人気が高い一部の国や地域に限られる。五輪から外れると強化費も激減。アンダー世代の強化も難しくなり、将来的なダメージを生む。
試合時間、人数、ハード面から、野球は五輪にそぐわないスポーツといわれ、今回の参加も6チームにとどまった。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)はグローバル化を視野に7イニング制や手打ち野球「ベースボール5」を推進しているが、野球先進国のアレルギー反応は想像に難くない。
今後は28年ロサンゼルス大会で競技復帰を目指す。32年開催国のオーストラリア(ブリスベン)も野球になじみがある。五輪復帰がかなうか否かは、競技の未来に大きな影響を及ぼす。国内においては、野球・ソフトボールがそろって金メダルに輝いた機運を、一過性のものにしない取り組みが求められる。(侍ジャパン担当・宮脇 央介)