一山麻緒、8位で日本女子17年ぶり入賞 永山忠幸監督の“鬼の顔”浮かび苦しさに耐えた

スポーツ報知
8位でゴールする一山麻緒

◆東京五輪 陸上 女子マラソン(7日、札幌大通公園)

 女子マラソンは、一山麻緒(24)=ワコール=が2時間30分13秒で8位入賞した。日本勢として、金メダルを獲得した野口みずきら3人全員が入賞した04年アテネ大会以来、17年ぶり。鈴木亜由子(29)=日本郵政グループ=は2時間33分14秒で19位、前田穂南(25)=天満屋=は2時間35分28秒で33位だった。ジェプチルチル(ケニア)が2時間27分20秒で優勝した。(曇り、気温25度、湿度84%=スタート時)

 鬼の顔が浮かんだ。先頭集団からこぼれた33キロ以降、一山は入賞ラインギリギリを保っていた。「9位より8位がいい!」。単独走で一番苦しい時間。40キロ走など超ハード練習“鬼・鬼メニュー”を課す永山忠幸監督との二人三脚が頭をよぎった。「今まで言えなかったけど、監督にメダルをあげたいって。取れなかったけど、今日できる走りをしようと思いました」。両手を広げてゴールに飛び込むと、一山スマイルがあった。

 新たな引き出しができた。33キロ付近の給水所で単独走となってからも、最低限のペースで粘り切った。ハイペースで最後まで走りきるレースを得意とするスピードが持ち味の24歳。「世界はあそこから速かったです。8番だったけど、上の7人が強かった」と話すが、勝負にこだわる国際大会での戦い方も身につけた。

 初マラソンから2年弱。経験は少ないが、「これ以上頑張れない、というところまでやって臨んだ」とストイックさは誰にも負けない。鹿児島・出水中央高時代にはトレーニング時間をどうにか捻出しようと、お風呂場で夕食を食べて時間を節約。恩師である黒田安名氏は「一度もレースで失敗したことがない。目指すことへの責任を果たそうと、成し遂げるための努力を『これでもか』と積み上げられる選手」と振り返る。

 20年3月の名古屋ウィメンズで国内最高記録をマークして代表3枠目に滑り込んだ。五輪の1年延期に当初は「ラッキー」と話していたが、「今年に入って精神的にも疲れてきちゃって、体は元気なのに心がついてこないというか…」とズレを感じることもあった。それでもつかんだ日本勢17年ぶりの入賞。「最後は笑顔で終わろうと思って…悔いはありません」。速さも強さもまだ道半ば。手足の長さから表される“優雅な鶴”は、より輝く場所へと羽ばたこうとしている。(太田 涼)

 ◆一山 麻緒(いちやま・まお)1997年5月29日、鹿児島・出水(いずみ)市生まれ。24歳。小学5年生から陸上を始め、出水中央高3年時に全国高校総体1500メートルと3000メートルに出場。2016年にワコール入社。17年に世界クロカン代表に選出。20年名古屋ウィメンズマラソンで、2時間20分29秒の国内最高記録をマークして優勝し、東京五輪代表に内定した。

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