中村匠吾、MGC優勝で見せた控えめガッツポーズ再現を… 駒大時代の寮母・大八木京子さんの願い

スポーツ報知
中村ら選手たちを優しいまなざしで見守る、大八木京子さん

 男子マラソンは東京五輪最終日の8日、北海道・札幌大通公園発着で行われる。19年9月の代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を制した中村匠吾(28)=富士通=は、母校・駒大を拠点にトレーニングを積んできた。学生時代からこれまでの約10年間を見守ってきた寮母・大八木京子さん(57)が同校初の五輪マラソン代表へエールを送った。(取材・構成=太田 涼)

 速さより強さ。そんな藤色のDNAを色濃く受け継いだ中村は、実業団・富士通へ進んでからも、大八木弘明監督(63)との二人三脚を続けている。合宿や遠征時以外は、駒大の選手寮「道環寮」で昼食や夕食を学生とともに食べている。入学時はどんな選手だったのだろうか。

 京子さん「う~ん、実はあんまり覚えてないんです(笑い)。強いとか速いとかよりも、おとなしかった。他に村山(謙太)とか元気な選手が多かった世代。個性が強い選手ばかりが目立っていたから印象は薄かった。だけど、オーラというか『何か持ってるな』っていう雰囲気は徐々に強くなっていった気がします」

 自己主張も口数も少ないが気になる存在ではあった。実際、学年が上がるにつれて記録を伸ばし、チームの中核へ成長。京子さんも「どうしてなのかは分からないけど…」と前置きしながら、常勝軍団を支え続けてきた経験から中村は唯一無二であったと評する。

 京子さん「独自の世界がある感じ。それは(マラソン元日本記録保持者の)藤田敦史とも違う。これまで見てきた駒大の誰とも異なるタイプなんでしょう。寡黙なのに不思議なカリスマ性があって、部員の信頼も厚かった。もちろん、監督からも」

 背中で引っ張り、口数が少ないからこそ一つ一つの言葉の重みが周囲を引きつけた。特に主将を任された4年目。夏場から調子が上がらず、一時はチームを離れて別調整するなど苦しんだ。それでも、最後の箱根駅伝では1区区間賞を獲得。総合2位に貢献した。

 京子さん「あまり感情を表に出す子ではなかったけど、あの時は違っていました。レース後に全員が集まって、中村も最後のあいさつでは感極まって泣いていました。涙を見たのは最初で最後。周りも苦しい時間を過ごしてきたことが伝わってきたのか、もらい泣きしてしまって」

 その後も駒大を拠点にトレーニングを積み、19年の代表選考会MGCでは優勝。目標だった五輪切符を勝ち取った。1年延期や今年に入ってからのけがの影響もあって険しい道のりではあったが、普段通り、我が子を見守るように見つめ続けた。

 京子さん「練習ができていても、調子が悪くても、感情の起伏みたいなものはあまり見せない。でも、MGCで優勝した時は、普段なら絶対しないガッツポーズをきっと生まれて初めてしていたんです。でも、慣れていないから、ちょっと腕は低めで(笑い)。それも中村らしいなって思いましたし、五輪ではどんな結果でも心の中であんな控えめなガッツポーズができるくらい納得した走りをしてくれたらと思います」

 ◆中村 匠吾(なかむら・しょうご)1992年9月16日、三重・四日市市生まれ。28歳。小学5年から陸上を始め、上野工で全国高校駅伝に3年連続出場。駒大では3年時のユニバーシアード・ハーフマラソン銅メダル。箱根駅伝は2年時3区3位、3年時1区2位、4年時1区区間賞。フルマラソンの自己記録は2時間8分16秒。2019年のMGCで優勝し、東京五輪代表に決定。家族は両親と弟。

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