野口啓代、引退レースで逆転表彰台の“銅”…野中生萌とメダルW獲り

スポーツ報知
メダルを手に笑顔を見せる野口(ロイター)

◆東京五輪 スポーツクライミング女子 複合決勝(6日・青海アーバンスポーツパーク)

 女子決勝は8人で争われ、日本勢がダブル表彰台を決めた。野中生萌(24)=XFLAG=は日本記録を持つ得意のスピードで3位、ボルダリング3位、リードで5位。順位のかけ算は45点となり、銀メダルを獲得した。今大会を最後に現役を引退する野口啓代(32)=TEAM au=はスピード4位、W杯で4度年間女王に輝いた得意のボルダリングは4位、リードは4位で、合計64点で銅メダルだった。

 競技人生最後の日。野口は赤と白の細いリボンを編み込んだ気合のポニーテールを左右に大きく揺らし、全ての思いを腕に込めた。得意のボルダリングで結果が出ず「心が折れそうだった」。暫定6位で迎えた最後のリードで、粘りに粘って4位。逆転で銅メダルを獲得した。21年間、頑張ってきた自分への最高のご褒美を手にし、「もっともっと登りたかったし、いいクライミングをお見せしたかったけど、今はそれ以上にうれしい気持ち」。喜びの涙が光った。

 東京五輪がなければ、競技人生はもっと早く終わっていた。15年にボルダリング年間王者になり、迎えた16年シーズン。野口は引退を考えていた。そこに運命を変える知らせが届く。「五輪正式種目決定」。採用となった種目は3種目による複合。「あと4年もできるかな?」「え? スピードもやるの?」。最初は困惑したものの、人生の全てを懸けて挑もうと決めた。

 17年は全く結果が出なかった。W杯でも思うように勝てず、絶対的自信を持つボルダリングで2ケタ順位に終わることもあった。「辞めてしまうんじゃないかな?」。周囲の関係者からも心配の声が上がったというが、野口は「今の辛い時期を乗り越えればうまくいく、前に進める、今が踏ん張り時」と言い聞かせ、自分に秘められた可能性を信じてきた。

 19年5月の複合ジャパンカップで五輪での引退を表明。コロナ禍での延期もあったが、32歳は延びた1年間でさらに進化を遂げた。スポンサーの支援を得て、実家に完成したスピード、ボルダリング、リード全3種の壁で五輪を想定した実戦練習を重ねた。銅メダルはこれ以上ない準備を積んだ結果。女子の第一人者として日本をけん引してきたレジェンドは、最高の笑顔で勝負の舞台を後にした。(小林 玲花)

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