田中希実、歴史的8位「ホッとした部分と、ラストだけでこんなに差がつくんだという悔しさもあって…」

スポーツ報知
女子1500m 力走する8位入賞の田中希実(カメラ・竜田 卓)

◆東京五輪 陸上女子1500M決勝(6日・国立競技場)

 女子1500メートル決勝が行われ、日本記録保持者の田中希実(21)=豊田自動織機TC=が3分59秒95で8位に食い込み、同種目日本人初の入賞を果たした。五輪の女子トラック種目で日本勢が入賞するのは、1996年アトランタ大会(5000メートル4位の志水見千子ら)以来、25年ぶり。初出場で、予選、準決勝と日本記録を更新。2レース連続の3分台をマークし、東京五輪での4レース(5000メートル予選敗退)を最高の形で締めくくった。

 理解できない。一体何が起きたのか、ゴール後にトラックへ座り、田中は天を見上げた。4分にも満たない、239秒間の戦い。「予選と準決勝を抜けられただけでもすごく合格というか、100点以上」。日本人初出場の1500メートルで8位入賞。それなのに―。「ホッとした部分と、ラストだけでこんなに差がつくんだという悔しさもあって…」。言葉とは裏腹に、充実感が漂っていた。

 想定外だからこそ、価値ある結果だ。日本新をマークした予選と準決勝と同じく、スタートから飛び出し、ハイペースを刻む作戦。しかし、中長距離3冠を目指すハッサン(オランダ)が“奇襲”。最後方からのスパート勝負に徹していた女王が、いきなり前に出た。しかし、「そこまでハイペースとは思わなかった。ただ、その先は覚えていない」。日本新ペースにもかかわらず、高すぎる集中力で気付くこともなかった。

 心技体、全てがそろって世界と渡り合えているが、ここまでの道は長かった。体と心がズレ始めたのは、昨年10月の木南記念800メートル。ゴール手前3メートルで膝から崩れ落ちた。力を振り絞り、上半身は真っ先にゴールラインを越え優勝はしたが、心に体がついて来られていないサインでもあった。

 そこからは、試行錯誤の繰り返し。父・健智コーチと何度もケンカし、何度も修羅場をくぐった。「お前、走るのに向いてねえよ!」と厳しい言葉もかけられた。それでも、10週連続レースなど荒療治もクリアし、2種目で五輪切符を得た。二人三脚で歩んだ険しい道のりを「いっぱいぶつかってきたからこそ、最後は開き直れた」と感謝。まだ21歳。この結果すらも通過点だが「私も和製ハッサンというより、世界の希実でいられるように頑張りたい」と新たな夢を明かす。日本中に希望を届けたスピードスターは、これからも輝きを増していく。(太田 涼)

 ◆田中 希実(たなか・のぞみ)1999年9月4日、兵庫・小野市生まれ。21歳。小野南中3年で全中1500メートル優勝。西脇工で全国高校総体3年連続入賞。18年U20世界陸上3000メートルで日本人初優勝。同大に進学。19年ドーハ世界陸上5000メートル14位。自己記録は1500メートル3分59秒19、3000メートル8分40秒84でともに日本記録、5000メートルは14分59秒93。家族は両親と妹。好きな授業はアイルランド文学。

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