向田真優「2人の夢」愛の力で大逆転金メダル 婚約者セコンド・志土地コーチと共につかんだ

スポーツ報知
金メダルを獲得した向田真優(左)は婚約者でセコンドを務めた志土地翔大コーチと笑顔を見せた

◆東京五輪 レスリング女子53キロ級決勝(6日・幕張メッセ)

 女子53キロ級決勝は初出場の向田真優(24)=ジェイテクト=が倩玉(ホウ・セイギョク、中国)に5―4で逆転勝ちし、金メダルを獲得した。専属コーチで婚約者の志土地翔大(しどち・しょうた)氏(34)との二人三脚で臨んだ初五輪で、愛の力が勝利を呼んだ。五輪3連覇の吉田沙保里が前回のリオ大会で銀メダルに終わった階級で覇権を奪回した。

 日の丸を掲げたウィニングランを済ませると、向田は最愛の人の胸に飛び込んだ。セコンドに入った婚約者の志土地コーチと抱き合うと、もう涙が止まらない。「今まで二人三脚でやってきた。2人の夢をかなえることができてうれしい」。同郷の吉田沙保里が前回リオ大会で4連覇を逃した階級で、覇権を奪回した。

 0―4で第2ピリオド(P)に向かった。「ここで行かないと絶対後悔するよ」とゲキを飛ばした志土地氏だったが、心中は焦っていた。「このまま生きていけるのかな…」。弱気になった自分をすぐに恥じた。向田は残り2分を切ったところで低く飛び込み、同点に追いついた。終盤のセコンドからの「勇気を出せ! 行け!」の声と共に、もう1発タックルをお見舞い。バックを取られそうになりながら、愛の力で立ち上がると、相手を場外に押し出し1点を追加した。

 19年10月に至学館大時代のコーチだった志土地氏と婚約した。大学レスリング部の指導者と学生の恋愛を、問題視する声があがったのは事実。向田が銀メダルを獲得し、五輪代表を決めた19年世界選手権後の9月、志土地氏は大学に辞表を提出した。「他の選手がかわいそう」「五輪前に恋愛している場合か」。批判が耳に届いた。「パートナーとして、コーチとして、真優を支えることが一番。それが使命」。婚約者の覚悟が支えになった。

 「レスリングをやめよう」と悩んだこともあったが、2人で強くなることを選んだ。「一生、一緒にいたいと思った人と出会った以上はレスリングも恋愛も両方大事にしたい」。母・啓子さん(51)が「決めたら絶対に譲らない」と話す芯の強さは子供の頃から変わらない。「私より苦しいことがたくさんあったと思う。きつかった時期に、はい上がることができたのは志土地コーチの支えがあったから」。胸を張って言える。

 大学を卒業後、昨年4月に拠点を東京に移した。母校の安部学院高と、ナショナルトレーニングセンターで練習を積んできた。コロナ禍の自粛期間中は2人で河川敷を走り、芝生の広場で打ち込みをした。「志土地コーチの声はずっと聞こえていて、すごく心強かった」と感謝した。婚約当初から、婚姻届を提出するのは五輪後と決めていた。「もうめちゃめちゃ気持ちよく、行けると思います」と志土地氏。1年先延ばしになっていた結婚は、近日中にかないそうだ。(高木 恵)

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