長い50キロ競歩 1991年東京世界陸上で3学年先輩の今村文男さんを応援し、実感した過酷さ

スポーツ報知
今村文男コーチ

 東京五輪陸上男子50キロ競歩が6日、札幌大通公園コースで行われ、日本記録保持者の川野将虎(旭化成)が3時間51分56秒で6位に入賞した。勝木隼人(自衛隊)は4時間6分32秒で30位、丸尾知司(愛知製鋼)は4時間6分44秒で32位と、いずれも完歩した。

 50キロ競歩は長い。競技時間はマラソンの2倍近くになる。

 金メダルを獲得したダビト・トマラ(ポーランド)でも、3時間50分8秒をかけてゴールした。

 ちょうど30年前。1991年の東京世界陸上で50キロ競歩の長さを実感したことをよく覚えている。

 その大会には、現在、日本陸連の五輪強化競歩担当コーチとして日本競歩陣の躍進を支えている今村文男さんが出場した。当時、今村さんは東洋大陸上競技部4年生。私は同じ部の1年生だった。

 レース当日。チームメート全員で、埼玉・川越市の選手寮から始発電車に乗って、東京の旧国立競技場に隣接した神宮外苑周回コースへ応援に向かった。

 朝のスタート時は、雨と風が吹き荒れる悪天候だった。その後、嵐は収まり、好条件になった。と、思ったのも、つかの間。気温はグングンと上がり、猛暑になった。「レース中に天候がこれほど大きく変わるとは…」。沿道で今村さんを応援しながら、50キロ競歩という競技の長さと過酷さを知った。

 今村さんは、日本競歩史上初めて世界大会で入賞となる7位と大健闘した。

 その後、私は記者となり、取材現場で今村さんと顔を合わせることも多くなった。2年ほど前に、1991年の東京世界陸上が話題になった。今村さんは自らの偉業を語るよりも「あんなに長い時間、応援してくれて、ありがとう」と笑顔で話した。

 この日、50キロ競歩で日本勢の3人がいずれもゴール後、頭を下げて感謝の意を示していたことが印象的だった。それは今村さんの姿勢と全く同じだった。長い時間をひたすら歩き続ける選手は、その長い時間を応援している人がいることを知っているのだろう。

 50キロ競歩は来年から世界陸上、五輪など主要国際大会で種目から除外されることが決まっている。今回が最後の五輪。猛暑の札幌で歩き続けた全選手に敬意を表します。(記者コラム・竹内 達朗)

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