田中亮明 銅メダル男子フライ級61年ぶり快挙 準決勝完敗も「自分との闘いには勝った」

スポーツ報知
男子フライ級準決勝で銅メダルとなった田中

◆東京五輪 ボクシング(5日、両国国技館)

 男子フライ級準決勝で、田中亮明(27)=中京高教諭=が、2019年世界選手権5位のカルロ・パーラム(フィリピン)に0―5の判定で敗れ、3位決定戦がないため銅メダルを獲得した。フライ級でのメダルは、日本勢メダル第1号となった1960年ローマ大会・田辺清の銅以来、61年ぶりの快挙。1大会の複数メダルは、女子フェザー級を制した入江聖奈(日体大3年)、フライ級・並木月海(自衛隊)の銅と合わせて過去最多の3個。12年ロンドン大会の男子ミドル級金の村田諒太、バンタム級銅・清水聡の2個を超える快進撃となった。

 亮明が真っ白な灰となって完全燃焼した。東京五輪の最後のリングは1ポイントも奪えず完敗。それでも開口一番、「最高すね、気分は!」と、すがすがしいばかりの日本晴れの顔を見せた。

 1回ごとの公開採点は、1、2回ともにジャッジ5人全員がパーラムを支持。最終3回は亮明がダウンを取り、さらに上回らなければ逆転勝ちがない状況になった。しかし、打ち終わりにパンチを打ち込まれ、とらえることができない。精も根も尽き果てるまで拳をブン回した。

 高校生から目指した初の五輪。前回五輪の金・銀・銅がひしめく“死の山”に入り、「亮明は終わった」とささやかれた。萎えるどころか闘争心に火がつく。一戦一戦を玉砕覚悟で挑んだ。妻・百美さんに「特攻してくる」と伝言を残して五輪メダリストを3連破。準決勝に向け「メダルは重要じゃない。どれだけ自分がかっこいい試合ができるか」と憂いを断った。額の陥没骨折で棄権を余儀なくされたライト級の成松が「亮明、男だよ」と感涙するファイトだった。「負けたんすけど負けたと思ってない。自分との闘いには勝った。僕はかっこ良かったんじゃないかなって思ってます」。一寸の余力を残さず出し切った顔を見せた。

 出場がかなわなかった16年リオ五輪後、母校・中京高の教員に専念することも考えたが、周囲の応援に後押しされ復帰。亮明は「一番、頭に浮かんだのは感謝の気持ち」と涙声で頭を下げた。比較されることが多かった、プロ元世界3階級制覇の弟・恒成とは違う景色も見た。昔から仲が悪かった弟の協力も得て歩んだ東京五輪ロードで初めて兄弟の絆を感じた。「僕があいつに言うことはないかな。でも最高の景色でした」

 年齢的には最後の五輪。「引退とか言うつもりないんで。やりたくなったらやるし、やめたくなったら誰にも言わずにやめますよ」。締めの言葉も亮明らしかった。(小河原 俊哉)

 ◆田中 亮明(たなか・りょうめい)1993年10月13日、岐阜・多治見市生まれ。27歳。中京高・社会科教員。5歳から空手、12歳からボクシング。2歳下の弟・恒成はプロ元3階級制覇で高校3年時に国体ボクシング初の兄弟優勝。駒大3年まで国体4連覇。2016年リオ五輪プレ大会で金も出場ならず。父・斉さんはコーチ。妻・百美さんとは18年6月に結婚。身長170センチの左ボクサーファイター。

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