銅の山西利和「過信した」 銀の池田向希と85年ぶり陸上W表彰台も「ふがいない。こんなもんじゃない」

スポーツ報知
銀メダルの池田(左)と銅メダルの山西が日の丸を背にポーズをとった

◆東京五輪 陸上男子20キロ競歩(5日・札幌大通公園)

 男子20キロ競歩が行われ、池田向希(23)=旭化成=が1時間21分14秒で銀メダルを獲得した。同種目では松永大介の16年リオ大会7位が最高成績だったが、日本人初のメダルとなった。19年ドーハ世界陸上王者の山西利和(25)=愛知製鋼=も1時間21分28秒で銅メダルを獲得。陸上での日本勢ダブル表彰台は、1936年ベルリン大会男子三段跳びで金、銀だった田島直人&原田正夫ら以来、85年ぶりだった。

 王者のおごりが、計算を狂わせた。17キロ過ぎに仕掛けるも失速した山西。ゴール後は両膝に手をつき、固まっていた。殊勲の銅メダルにも「勝ちきれると過信した。守りに入って、全てが中途半端。本当に甘い」。策士、策に溺れる。あらゆるパターンのレースを想定してきたつもりが、中盤までで体力を消耗していた。

 難しいレースだった。序盤に飛び出したのは、今季の世界ランク1位・王凱華(中国)。追うべきか、後半まで待つか。山西の選択は「少し追う」だった。「細かいレース運びを考えたら無駄が多すぎた。追うなら追う。待つなら待つ。焦ってしまった」。13キロ手前で追いつくも、そこまで集団を引っ張ったり、下がったりと出入りを繰り返し、勝負どころでの勢いを欠いた。

 京大工学部を卒業し、入社した愛知製鋼では午前9時から午後3時ごろまで一般社員と一緒に働く。部署は会社の中枢でもある「部品開発」部門。新しい部品の設計やシミュレーションを行い、高い専門知識も必要だ。18年の入社当時からチームの中心として緻密な作業に取り組んでいるという。アスリートとしても精密機械のようなウォーカーだが、この日は苦しくなった18キロ過ぎに警告が1枚出るなど、山西らしさを発揮できなかった。

 金メダル候補としての重圧とも闘いながら、銅メダルを勝ち取れたのは地力の高さにほかならないが、「先にゴールしたのは池田君なので、彼をたたえたい」と喜びはない。「これを経験の一つに…という表現は正直言いたくないが、ふがいない。こんなもんじゃない」。クールな男は初の大舞台でかつてないほどの屈辱を味わった。(太田 涼)

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