卓球3人娘 家族の絆…平野美宇のスランプ救った母の「やめることで笑顔になれるなら、やめてもいいよ」

スポーツ報知
銀メダルに笑顔を見せる(左から)平野美宇、石川佳純、伊藤美誠(カメラ・竜田 卓)

◆東京五輪 卓球女子団体決勝 中国3―0日本(5日、東京体育館)

 卓球女子団体で石川佳純(28)=全農=は3大会連続、伊藤美誠(20)=スターツ=は2大会連続、平野美宇(21)=日本生命=は初めてのメダルを獲得した。幼少期から注目された“みうみま”コンビが力を合わせ、五輪のメダルを獲得した。エースとして奮闘した伊藤の独創性の秘密と、栄光からの挫折を味わい、笑顔を取り戻すためにもがいた平野の苦闘を卓球担当の林直史記者が「見た」。

 平野に笑顔が戻った。7歳の時、全国大会で初めて立った表彰台から見た景色が忘れられなかった。幼少期から“愛ちゃん2世”と注目され、報道陣に夢を何度聞かれても「キティ屋さん」と答えてきたが、その時に初めて「オリンピックで金メダル」と宣言した。

 16年リオ五輪は補欠だった。現地に同行して練習相手やボール拾いを務め、表彰式は観客席で見届けた。五輪後、高速卓球に挑戦。女子W杯を史上最年少で制し、17年アジア選手権で中国のトップ選手3人を破った。世界選手権では48年ぶりの銅メダル。“ハリケーン・ヒラノ”と期待されたが、結果が出なくなると、ギャップに苦しんだ。

 信頼する中国人コーチの帰国も重なった。ラケットを握ると涙がこぼれ、吐き気がした。寮の部屋に3週間引きこもった。心配した母・真理子さんに焼き肉店に連れ出された。「私は五輪より、美宇の笑顔が大事だから。卓球をやめることで笑顔になれるなら、やめてもいいんだよ」。母の問いかけに1週間後、「やっぱり諦められない。五輪に出たい」と答えた。

 19年の代表選考レースは苦しかったが、夢に向かうことに迷いはなかった。最終戦でシングルス代表を逃した。落ち込んだが、すぐに練習場に向かった。「今のままじゃ中国選手に勝てないから。きっと自分が選ばれるって信じて、選ばれた時に勝って金メダルが取れるように練習する」。団体戦要員の3人目の発表までの2週間もラケットを振り続けた。7歳の宣言から14年。ようやく立てた夢の舞台を笑顔で駆け抜けた。

 ◆平野 美宇(ひらの・みう)2000年4月14日、静岡・沼津市生まれ。21歳。山梨・田富町(現・中央市)で母・真理子さんが始めた卓球教室で3歳から卓球を始める。14年3月に伊藤との「みうみま」ペアでワールドツアー・ドイツオープン女子ダブルス優勝。16年リオ五輪は補欠。同年W杯女子シングルス優勝。17年全日本選手権同優勝。同年世界選手権で銅メダル。157センチ、51キロ。

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