リレー侍、最下位通過から下克上「金」だ 詰めろ4×0秒1…青戸慎司氏が3つの上がり目を分析

スポーツ報知
男子400メートルリレー予選を1組3着で突破した(左から)多田修平、山県亮太、桐生祥秀、小池祐貴(カメラ・相川 和寛)

◆東京五輪 陸上 男子400Mリレー予選(5日、国立競技場)

 男子400メートルリレー予選が行われ、多田修平(25)=住友電工=、山県亮太(29)=セイコー=、桐生祥秀(25)=日本生命=、小池祐貴(26)=住友電工=の順で臨んだ日本は、38秒16の1組3着で6日の決勝に進んだ。V候補筆頭だった米国が敗退するなど、本命不在の混戦。男子100メートル元日本記録保持者で、スポーツ報知で評論を担当する青戸慎司氏(54)=中京大副部長=が“リレー侍”の3つの上がり目を分析。決勝へ「日本記録(37秒43)にどれだけ近づけるかが勝負」と背中を押した。

 “リレー侍”は、悲願への挑戦権を得た。英国やジャマイカなど強豪ぞろいの1組で、通過圏ギリギリの3着。フランスを0秒02、距離にして20センチ差で抑え、6大会連続の決勝進出をつかんだ。山県は「(バトンを)お互い安心してできるように調整していた。決勝はもっと攻められる」。多田も「予選はプレッシャーがあったけど、決勝は自信を持っていける」と力強かった。青戸氏も、決勝に向けて各区間には“上がり目”が十分にあると見ている。

 〈1〉多田の加速

 青戸氏「インコースを攻めてスピードを落とさないのが、本来の多田君の仕事。決勝は大外の第9レーンに入ったのは追い風になる。予選で走った第4レーンよりも直線に近く、走りやすい。他国の走りを気にせず、しっかりと内側を攻めていけるだろう。山県君とのバトンパスも、まだ余裕を持っている感じがある」

 〈2〉エースの出力

 青戸氏「2走の山県君は、出力の面でまだスピードに乗り切れていない感じだった。予選は午前中で暑く、コンディション調整も難しいが、決勝は夜なので良い状態で走れる。桐生君とのバトンパスも、安全につなぐことを優先して、勝負した感じはなかった。出力とバトンパスを含めて、まだ短縮の余地はあるだろう」

 〈3〉桐生の爆発力

 青戸氏「桐生君は、予選でも自信を持って走っているようだった。3走は、各チームがエース級を起用してくる区間だ。ライバルの中国でいえば、9秒83の100メートルアジア記録を持つ蘇炳添。強豪選手と一緒に走れば、桐生君は燃えると思う。予選で詰まったアンカーの小池君とのバトンパスも含め、どのくらい差を詰めていけるか、期待したい」

 3つの“上がり目”を踏まえ、目指すタイムは37秒台中盤。19年ドーハ世界陸上で出した37秒43にどれだけ迫れるかで、勝敗も分かれる。

 青戸氏「日本記録にどれだけ近づけるか。1人当たり、予選から少なくとも0秒1は詰められると思う。今大会は混戦模様で、1か所でもミスをすれば致命的。逆にいえば、どのチームにもチャンスはあるということ。決勝でプラスアルファの力を出せた国が、優勝する。どのチームにも可能性があるのが、決勝の見どころだ」

 38秒16のタイムは、予選を通過した8か国で最も遅い。予選→決勝の現行方式となった04年アテネ大会以降、予選タイム最遅のチームが優勝した例はなく、金メダルなら五輪史上に残る下克上となる。リオ五輪の銀メダルから5年。培ってきたバトン精度と、個の走力。全てをぶつけ、勝ちにいく時だ。桐生は「冷静だけど、燃え上がるような走りをしたい」。覚悟を宿したバトンが、歴史的な栄冠へつながる。

(細野 友司)

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