五輪沸かせたスケートボード かじった記者が感じる横乗りのカルチャー

スケートボード女子パーク決勝で競技を終えてスタンドにあいさつする岡本碧優
スケートボード女子パーク決勝で競技を終えてスタンドにあいさつする岡本碧優

 スケートボードが本当にアツい。東京五輪から採用された新種目。メダルラッシュだけでなく、互いをたたえ合うスケーター達の姿に、感動している人も多いのではないだろうか。

 個人的に最も胸を打たれたのが、女子パーク4位だった岡本碧優(みすぐ)。メダルのかかった決勝3本目のランは、ラストトリックまで完璧に近い滑り。置きに行けば、メダル圏内は確実だったはず。それでも、彼女はデッキ(板)をつま先でドリルの様に1回転させてつかむ技、キックフリップ・インディを選択し失敗。メダルを逃した。

 頭を抱え、悔しさで顔をゆがませる彼女の周りに、各国のスケーターたちが自然と集まった。チャレンジをたたえ、抱きしめ、担ぎあげた。あの瞬間は、本当に感動した。

 かくいう僕も、実はスケートボードを持っている。「下手の横好き」というやつだ。女子パークで銀メダルを獲得した開心那(ひらき・ここな)が所属する札幌市の「ホットボウル スケートパーク」。週末には大人向けに「大人スクールHOTちょっとBOWL」というイベントを開いている。北海道に転勤してきたばかりだった僕は、インスタグラムから申し込み、ボウルというおわん型の地形を滑らせてもらった。

 一緒に参加したのは小さな子どものいる主婦の方や、僕より年上のカップルの方たちなど。ボウルに入るのは初めてだった僕は、その場の誰よりも下手だった。上級者が華麗な技を決める中、僕は重力に任せて行ったり来たりするだけ。それで精いっぱいだった。

 恥ずかしいような、情けないような…。そんな気持ちの中、年上の女性スケーターが「一緒にやりませんか?」と手をさしのべてくれた。うれしかった。お姉さんたちと一緒に、基礎からスタート。失敗してコケても、「ナイス! 次は行ける」と励ましてくれる。何も出来なかった僕が2時間の練習の末、ボウルの中でターンを成功。すると、イカしたおじさんスケーターもデッキで地面をたたき祝福してくれた。

 スケートボードには性別、年齢の垣根などなく、失敗をバカにしない文化がある。コケることは、恥ずかしいことじゃない。むしろ、挑戦してコケないとうまくなれない。下手でも、チャレンジする精神を褒めてくれる。成功すれば、みんなで喜ぶ。そんな精神が、好きだ。東京五輪の日本勢の活躍で、スケートボードのすばらしい面が多くの方に知ってもらえたと思う。

 元々ストリートで発展してきた文化でもある。「不良」がやる悪いイメージや、「スポーツではない」という批判的な声も聞く。街に繰り出していくスケーターの騒音など課題は多い。フランクな解説で話題となったプロスケーターの瀬尻稜さんは「スケボーをしてない人と、スケーターがもうちょっと『共存』して生きていけたらいいと思う。みんながみんなを認め合っていけるような世界になっていけたら」と放送内で思いを語った。

 練習場所を増やすため公共スケートパークのさらなる整備も必要だが、スケーター側も、社会から認められるように歩み寄ることも必要だと思う。若者たちが歴史を変えた東京五輪。今後の「共存」のきっかけになると期待している。(北海道支局・秦 雄太郎)

 ◆追記 もしスケートボードに興味を持ったなら、米国のレジェンドたちの実話を基にした映画「LOADS OF DOG TOWN」を見てみて欲しい。「ダークナイト」のジョーカー役で有名な故ヒース・レジャーも出演している。カルチャーの一部が分かるはずだ。また、堀米が所属する「April」のYOUTUBEチャンネルには、金メダリストがストリートを攻めまくる動画(https://www.youtube.com/watch?v=gpBhkU3q_gg)がある。コンテストとはまた違う魅力も詰まっているので、是非。

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